れいの、森という人の発言のひどさ、さらにその後のいやゆる謝罪会見の内容のひどさが、この件に関してはむしろ怒りを募らせているようです。
何よりも、最初はなあなあだったIOCが、さっさと当初の忖度を翻し、森批判にまわりましたので。
そんな中、今朝こんな記事が東洋経済オンラインに載ってました。
フランス人が憂う日本人女性の置かれた「立場」、日本人女性はもっと発言するべきだ
主な内容は、本当にタイトル通りで、後私が時々言いつのっていることと同じなのですが、この記事冒頭に非常に興味深いエピソードが取り上げられています。
’2019年10月30日、ラグビーワールドカップ日本大会の成功を祝してフランス大使館で催された大規模なパーティーの席で、主賓だった同氏は30分ほど続くスピーチをした。……スピーチの途中に、携帯電話が鳴り出した。……「スピーチをいつ終わればよいかがわかるように、私がアラームを設定しておいたんですよ」と彼は人々が笑う中で説明した。「でもまだ話したいことがあるんです」と彼は言うと、その後さらに15分間話し続けた。’
まあ、スピーチの内容はそれなりに意味のあるものだったようです、社交辞令が入っているのではと思いますが。でも、著者(フランス人ジャーナリスト)曰く、一般にスピーチの長いのはむしろ女性より男性で、さらにこの森ご本人も長話が好きなように思われます。
結局、オリジナルの発言は、少なくとも状況証拠からすると、女性を忖度せず、質問する方厄介だということなのでしょうね。
まあ、この話が大きくなった最大の理由は、彼のポジションが日本のオリンピック委員会のTopだから。これが単に閣僚の一人だったらここまで大きくはならず、また適当にお茶を濁されておしまいだったでしょう。
ところが、このニュースが報じられるや否や、まじで世界中の女性オリンピック関係者が激高しました。まあ、日本国内でも、ボランティアが400人以上やめてますし。
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さて、日本の独特な男女差別がベースの体制は、実は明治の薩長政権が強く押し出したもので、その後昭和の高度成長時代に、さらに日本の経済成長を促すモデルとして補強されたものです。
で、令和の今、このモデルは経済モデルとして完全に崩壊しています。何より若年層の収入がどんどん下がっていったので、結婚しても昭和のような分業を支えるだけの経済力を持つ男性がほとんどいません。
つまり、共働きは当たり前です。
で、欧米でのフェミニズムの勃興を見てみますと、これは結局60年代のカウンターカルチャーの多きな流れの後、(アメリカの場合、実は一番大きな成果は人種差別に対するCivil Rightの確率です。)Sexual Revolutionという実験期があり、それにはPillの解禁ということも追い風にはなりましたが、結果としてそれは女性の自由ではなく、ただ男が勝手をするだけだったという認識に至ります。
フェミニズムという大きな波がこういう時代背景のもとに生まれています。で、それはよくわかる。たとえば上野千鶴子さんが、自分の原点は私怨ですといいきるあたりはここら辺の状況からきています。それがらみの記事はこちらを読んでください。
上野千鶴子が’私怨’と言い切ったのですっきり。そうか禰津子は口枷をはめられたまま戦い、令和のいま呪術廻戦の女子キャラたちは一斉に煽りまくる
私ぐらいなのかな、呪術廻戦の人気と、男女差別意識の変化を結びつけているのは。でも、アニメや漫画ほど、日本の集合無意識の流れをしっかり反映しているものはないです。
その点、文章だけの小説などより、Directです。だから、私は禰津子ちゃんの口枷が象徴するものに深く反応するわけです。
さて、日本の男女差別的社会の改革を考えるうえで、最大の問題は、実は
女性側の意識にあります。
別に、女も悪いという言い方ではなく、女性のほうの認識のゆがみを直すのが、たぶん一番効率が良いアプローチだと私は思うのです。
すべてというわけではありませんが、酒井順子さんが、この件に関しては、かなり的確に指摘してます。
まあ、タイトルはさすがですよね。
ともあれ、戦後の男女差別をベースとしたシステムは、昭和の成長を支えてきたので、女性側も、これに答えて抑圧のすり替え、さらに同性同士の自主規制など、ずいぶんと手が込み、そして認識レベルまで操作するようなことを長い間やってきてます。
これが、日本の文化的な背景とさらにさらに絡み合ったりしているので厄介です。
その辺まで解きほぐさないと、無用な男女対立が起きてしまいます。もう毎回この手の話をするときに言ってますが、今同じように搾取が進んでいる、日本の若年層が抱える問題とこの男女差別の問題は、ともに解決に向けて対処されるべきものなので。