私は基本Netflixアニメにはかなり批判的です。

以前、こんな記事書いています。

 

デビルマンCry baby、ネットフリックス製作のアニメがまるで萌えない理由を5つ挙げてみました。

 

あと、あの上から目線、意識高い系オジサンたちの偉そうな雑誌、Brutusでなぜかアニメ特集やった時、こんな記事も書いています。

 

Brutusの平成アニメ特集、突っ込みどこあろりすぎだけど9つにしぼりました。むかむかしっぱなし

 

NetFlixって、最初から日本以外のマーケットを頭に入れているのでしょうし、日本の結構お金がかかっているアニメに比べても予算は潤沢だと思います。

 

で、このアニメでも、少し前のデビルマンでもそうですが、電通なんてのも制作チームにはいっているのよね。

 

そういえば、Brutusの内容も、それなりにきっちり調べてあるにもかかわらず、すごく広告代理店臭が強かったし。

 

広告代理店臭っていうのは、’こうすれば売れるだろう’というパターンが透けていて、個人の作家固有のゆがみが無くなって、整合化されているといえばいいのでしょうか。

 

結局、SAOが、いまだに面白いのにFateシリーズがどんどんつまらなくなっていく現象と同じ問題なのでしょう。

 

実はほんの一か月前に、Amazon Primeで私はPsycho-Passの3部作と、第三期をしっかり見ていて、今考えるととても面白かったし、ぶっちゃけ以前のシリーズ化していたころの攻殻機動隊のアニメと、雰囲気が似てるのです。

 

まあ、両方ともIGだから。で、今回のNetflix版も一応IGの制作なので作画とかに何の問題もないし、いわゆるProduction Valueは高い。そして、’攻殻機動隊’とデビルマンでは、原作の同時代性がまるで違うレベルなので、基本

 

楽しめはする。

 

でも、’攻殻機動隊’’って、基本原作もアニメも、普通じゃないのです。これ、この本でもはっきりとりあげられているけど、

 

 

いわゆるサイバーパンクというコンセプトがWilliam GibsonのNeuromancerによって定着した後、フィクションではありながら、今のところ空前絶後の概念の具象化の塊です。

 

ぶっちゃけ、私がこの本を読む気になったのは、作者のTEDのビデオで、彼が日本の希望としてつぶやいたのが、

 

’攻殻機動隊’とどらえもんだったからです。

 

ですから、普通の娯楽ビデオが対象となるよりも、ずっと厳しつっこみになります。この後ネタバレが全開になりますのでその警告。

もし、攻殻機動隊’がどんなアニメなのか知らない方でしたら、普通にとてもCoolなSFアニメ、でもだんだん訳が分からなくなった。こんな感想になるでしょう。

 

で、逆に’攻殻機動隊’という作品のすごみを知っているものにとってまず第一に、

 

1.第五話までは、これ’攻殻機動隊’じゃないです

大体、アメリカ側の狂言回しとしてでてくるNSAの男の名前がJohn Smithで、しかもこいつsのビジュアルも、もろ

 

MatrixのAIプログラムキャラ、Mr. Smithです。

 

基本、’攻殻機動隊’を知らない欧米の観客に、なんだかんだと有名になったあの、映画Matrixとの関連性を呼び起こすことによって、そういう世界なんだという導入を行っているのだと思います。

 

でも、本当に最初の5エピソードって、タチコマそして敵方のハイテックな攻撃用ロボットは確かにかっこいいものの、肝心の草薙素子をはじめとするもと公安9課のメンバーたちは、基本、

 

ハイテックな超優秀な傭兵にしか見えない。

 

もちろん、お話の始まりの設定がもろそうなっていますから当然なのですが、公安9課の能力というのは、もっとずっと洗練されたMix Realityの中での機動力です。

 

今回のアニメはフルのCGでもありますから、本当に’攻殻機動隊’というより、ハリウッド製のテクノロジーアクションに見えてしまう。

 

2.タチコマの使い方が、あまりに安易

 

’攻殻機動隊’のファンはほんとうに、タチコマたちが好きです。確かに彼らはとてもとても可愛いです。後、彼ら特有の動きもとても見ていて気持ちがいい。

 

で、彼らの会話も、可愛いし面白い。

 

でも、タチコマが単なる可愛いAIロボットでないのは、その可愛い口調で、なんとも高尚な会話を広げ、

 

人間とAIの隙間について、何かと思いをはせ会話し続けることなのです。

 

これは、とくにシリーズS.A.C.の2ndギグでの活躍は、ファンの涙すら誘いました。

 

それと、今2020年のビジュアルの中で、かってあんなにかっこよく見えていたタチコマのデザインが、

 

レトロに見えてしまう。

 

なんか、ハリウッドの今のSFに慣れた観客と、元のファン両方に媚びようとして失敗したという感じです。

 

3.プリンより、タチコマの次世代を作るべきだった

プリンって、本当に名前も設定もありきたりでうんざりする。

この子と絡むから、余計にタチコマとプリンのコミックリリーフ化が増幅する、そういう感じですね。

最初は、タチコマ可愛いと喜んでましたが、だんだん会話の内容の薄さにすごくうんざりしてきました。

’攻殻機動隊’シリーズの場合、アニメ版でARIZEという、草薙素子の前公安9課の時代の話もありますが、その中でタチコマの前位機種である、真っ赤な

 

ロジコマもあるのです。

 

タチコマが、おしゃべりで頭のいい弟なら、ロジコマはもっと無口で力持ちのお兄さんという感じでした。

 

これ、もしかして女の子がたの、タチコマの上位機種を作る案を、プリンという人間の可愛いキャラに置き換えられてしまったのかと私は邪推してます。

 

本当に、プリンの代わりに、例えば蜂あたりの形態をモチーフにした、高速空間移動が可能な上位機種だったらすごくよかったのに。

 

突っ込んでばかりいますが、やはり、なんだかんだと出てくる動物や昆虫から発送したロボットたちのデザインは、カッコいいです。

 

ドーベルマンよりさらに怖い、番犬ロボットとか、ああフィギャアでないかなあと思いましたからね。

 

突っ込みまくりますが、やはり見るに値する部分もあるのです。

 

4.電脳戦はどこへ行ったの?

1-5話が、個人的にはすごくつまらなかった最大の理由は、

 

大した電脳戦がない

 

本来の’攻殻機動隊’なら、例えばちらっとロボットの動きが、まるであらかじめこちら側の攻撃を予想したかのようによけている、なんてコメントしたら、それに関連したうんちくは語られるのが普通です。

 

さらに、今やリアルで量子コンピューターの開発が進んでいる時代です。

 

今回の、まあ本当の’敵存在’である、’Post Human’とやらについて、もう少しいろいろな会話というか、草薙素子との電脳戦があっていいと思います。

 

彼女が、Post HumanにJack Inして起きた状況では、Post Humanは、

 

単なるVirusにしか見えない

 

だいたい、HumanがPost Humanになってしまうきっかけの一つが、高熱ですよ。私は、ロックダウン下のアメリカでこのアニメを見ているので、

 

Post Humanになる、が ウイルスに感染?

 

と見えてしまいます。

 

ちなみに、草薙素子をはじめとするもと公安9課のメンバーほぼ全員が、ハイテックな傭兵としか見えないなかで、あのTogusaだけは、

 

一番、電脳捜査的なことをいろいろやっている。今回はそういう話になるのでしょうか。

 

とにかく、草薙素子が彼女のすごさをいまだに発揮していないのが非常に不満です。

 

5.草薙素子ではなく、Togusaが主人公?

ほかのレビューで、ものすごい大ごとのように騒いでいたのが、Togusaというキャラクターの離婚です。

 

そもそも、Togusaというのは、公安九課の中では一番異色な存在です。いわゆる義体化をほとんど施しておらず、しかも家族持ち。

 

半ばサイボーグとかした仲間のなかで、唯一人間的要素が強い。だからこそ、逆に見えるものもあるのではという前提のもとにメンバーに加わっていたのです。

 

Togusa一人だけは、家族持ちということもあって傭兵には加わらず。それがいわばお話の導入にも、かなり追い詰められた素子達にとってのJokerにもなっていき、しかもその過程で、本来素子が得意とするような捜査もやっている。

 

ただ、この新シリーズ、全部で4つのかなりはっきりと異なったお話に分かれています。

1-5の、いわば前置き、
6,7の公安9課の再編成、もっとも7話は、Batouの個人エピソードですが
8,9が、公安9課としての’Post Human’を公式な懸案としての受け入れ。そして、最初の’Post Human’との邂逅
10- 二人目の、まだ14歳の若いPost Humanとのかかわりのはじまり

 

で、この10話以降、どうもお話の中心が、まるでTogusaなのですね。

 

6.CGにする必要があったのか全く分からない

まあみんな言っているけど、とにかく一番ひどいのが、

 

男性陣の髪の毛

 

単なるプラスチックの塊にしか見えません。さらに、日本のアニメほぼ特有の豊かな感情表現がほとんどない。

 

CGに適した感情表現のパターンというのはまだないから、こうなるのかな。

 

アクションシーンとか、ハイテックキャラはCGが逆にクールに見えるというのはある。

 

ただ人間以外でも違和感があるのは、

 

タチコマです。

 

レトロに見える理由の一つは、なんかアニメをCGで再現してみました感がありますね。

 

幸いCVが同じなので、どうにか無視している時がまあ多いのですくわれてはいます。

 

が、私にとって一番つらいのは、荒巻の白髪の塊。綿菓子じゃないですか。

 

後、もう一つ、草薙素子に顔はこどもっぽすぎる。この人、お話を追う限りでは推定年齢70はすぎているし。いかにもアメリカ人が妄想するロリータ美少女でいや。

 

振り返って見ると、アリータは同じ少女でも、もっと普通ぽくて美少女過ぎないのが良かった。

 

7.次のシーズン如何で、最終評価は決まる

 

この12話、結局2日で全部見ました。で、前半と同じようなつもりで8話の途中ぐらいまで見て寝落ちしたのですが、これがまずかった。

 

次の日残りを見ながら、少し混乱が始まりました。

 

でも、このぐらいじゃないと’。

攻殻機動隊じゃない’

 

え、これは何がどうなっているの?と初見で混乱するようなシーンがあってこその特別な作品ですから。

 

まるで、前半NetFlixからの要請にあわせ、広告代理店の意向もいれて、かなり薄めの内容にしたから、後半は’攻殻機動隊’らしい話にしてもらいます。という忖度でもあるかのよう。

 

そういえば、最初に出てくるPost Human2人(?)には人間性のかけらも残っていなかったけど、日本で確認されたPost Humanは、最初の二人とずいぶん違う。

 

そういえば、プリンがロボット化する可能性だってこの先ないわけじゃないし。

 

’制作のみなさま’、第二期はぜひ’攻殻機動隊’の名に恥じない内容にしてくださいませ。

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