今季始まりは、とにかく期待しました。異世界ものも、そうではないものも、今年前半に比べてすごく充実感ありました。
さて、11月も終わりに近づいて、ファンタジーものと異世界ものは少しテンション下がってますね。’ゴブリンスレイヤー’は、手堅く面白いのですが、’転スラ’はちょっとゆるすぎる。この分だと最低2クールは続くのでしょうが、それにしても漫画に比べて引き伸ばし感がありすぎです。
別に、センチメンタルなシーンが嫌だと言っているわけではないのです。でも作品世界のなかの時間速度をときどき引き伸ばされるパターンが続くと’つまらいない’感が湧いてきてしまうのです。
そんな中ソードアート・オンライン アニメ第四期アリシゼーション盛り上がってます。
SAOは、シリーズ化されたアニメはすべてCrunchy Rollで見ています。
多くのファンと同じように第一期でハマりました。
で、第二期はいまいちでしたが、第三期GunGail Onlineは良かったです。
さて今季のアリシゼーションですが、最初ちょっとわかりにくかった部分もありましたが、やっと何が進行しているかが明らかになる前後からいい感じです。
とくに我らがヒーロー、キリト(桐ヶ谷 和人)がアンダーワールド(UW)に登場してから俄然盛り上がっています。
今、いわゆる異世界物が反乱する中、SAOはオリジナルのリアル対ゲーム世界の対比を決して捨てません。
確かにOverloadも転スラも大好きではあるけれど、SAOのこのこだわり原作者の挟持を感じます。
今季のアリシゼーションですが、これAlice化ということで、Aliceは
「Artificial Labile Intelligent Cyberneted Existence(アーティフィシャル・レイビル・インテリジェント・サイバネーテッド・イグジスタンス)」の頭文字のつなげた言葉で、日本語だと、環境高速適応する人工自立存在、あるいはAIといったところでしょうか。
この場合Labileという言葉がKeyで、アルゴリズムよりもっと瞬時に複雑な反応することを指します。
実はこの設定を見ていて思い出したのだ少し前にリリースされたInceptionというSF映画。
この映画のメインアイデアは2つあり、まず人間の夢みる力、なかでもLucid Dreaming (明晰夢:めいせきむ、英語:Lucid dreaming)。
これは睡眠中にみる夢のうち、自分で夢であると自覚しながら見ている夢のことで、訓練あるいは偶然によって夢の状況を自分の思い通りにできると言われています。
映画でも、この能力が高いとされる人間が出てきますが、SAOのUWで、キリトがイメージする力と呼んでいる能力はこれに一番近いでしょう。
さらに、もう一つの夢の特徴、それは幾重にも夢を入れ子状で見るとき、深くなればなるほど夢の中の時間は現実世界に比べものすごい速さで過ぎていくとされています。
キリトが送り込まれたUWでは、それまだ経験したゲーム世界とことなりすでにかなりの時間が流れているというわけ。
映画の方は、この辺の説明をあまり丁寧にしてくれたとは言えないので、実は私この映画始めてみたときかなり混乱しました。でもこの前提を理解してから映画を見直すと面白さが増します。もちろんFXもすごいのですが。
ともかく、いままでのゲーム世界とことなり、キリトがUWに来て以来、すでに何年もの時間が流れているわけで、さらに複数のゲーム世界の覇者であるキリトはどんどんこの’イメージする力’まあ、UWでは一種の魔力を身に着けても行くわけです。
シリーズもここまで展開してきて、キリトとしてのゲーム世界での経験値とリアルでの桐ヶ谷 和人としてのものとの間にはすでにかなりの差があり、リアルの世界での認識異常をもたらしかねない。
実のところ、キリトがUWに飛ぶはめになった昏睡状態をもたらした事件も、このへんの認識誤差が原因となっています。
ただ、一旦ゲーム世界にはいってしまうと、彼はたとえルールが変わっても注意深く新しい状況を把握していくのです。
SAO第一期の面白さは、私にとってこのキリトの成長プロセスの丁寧なかきこみでした。
一方アリシゼーションでは、この世界の特徴がどういうふうにキリトの経験を形作っていくのか、そしてこの高適応型AI内に存在するNPOたちとどう関わっていくのか目が話せない。
今までの世界とことなり、キリト以外はすべてこのAIが生成しているものですから。
さて、キリトにしろ、リアルの桐ヶ谷 和人にしろ、基本的にいいやつです。ただスタート時点での設定では、彼はかなりのボッチタイプでした。
でも、オリジナルのSAOを生き延び、さらにチャンピオンのなり生還したことで、彼は凄まじく成長し、さらにリアルでは年上かついわば格上であるアスナとまずゲーム世界で結ばれ、さらに現実世界でももうそう簡単には壊れない絆を結んでいます。
ゲーム世界のキリトは、行動面では以前に比べかなり人当たりが良くなりはしましたが、いまだなんといっても’いいヤツ’であることに変わりはありません。
ただ、たとえ正当防衛とはいえ、キリトにはSAOでプレイヤー殺しを数人殺害しています。
これはもう彼のある部分に消えることのない闇をかたちづくってしまいました。
だからこそ、キリトが剣を手にして戦闘を始めるとき、その姿はヒーローというよりは、
剣鬼です。
彼の強さは究極的に、いつ死んでもいいという覚悟の現れなのです。
今現在アニメ、ラノベなどのコンテンツでキリトは最も濃密な剣技を可能にすることができる。そしてSAOはその姿を未だに描き出すことに成功しています。
キリトは、優しくて、ヘタレで、でも結構人懐こくなってきているけど、
彼はまだ少年である時に、ゲーム世界での生存のために殺人者となったのですから。