デービッド・アトキンソンというかなり異色のイギリス人がいます。一昨日の記事も彼と日本人の学者の対談でしたが、これは2ヶ月ほど前に、こんな記事を書いています。

日本人の議論は「のんき」すぎてお話にならない、危機感をもって「本質」を徹底的に追求せよ

もともとゴールドマン・サックスアナリスト。オックスフォード大学「日本学」専攻していたくらい、日本の文化が好きなのは本物ですね。なんせ裏千家茶名までもってますから。
が、リーマンショックの直前2007年に金融の世界から引退。1965年イギリス生まれですから、時に42歳ですね。まあ、この世界40代で燃え尽きて引退する方はかなり多く、そのあとArt系か農場系で第二の人生を送るというパターンはそうめずらしくありません。
珍しいのは、今日もの対象が日本の文化やArtであったことで、2009年、創立300年余りの国宝・重要文化財の補修を手がける小西美術工藝社に入社、取締役に就任。
これは、たぶん茶道絡みの縁でしょうか。その後2010年に代表取締役会長、2011年に同会長兼社長に就任し、今に至るという、輝かしいキャリアの持ち主ですね、
こういうキャリアと立ち位置の持ち主を見てどう思いますか?ああ、多分Art大好きお金持ち目線だろうなあ。そう思います。やってくださっているお仕事は大事なことだとは思いますが、
この方は日本がもっと金持ちの観光客を引きつけるにはどうしたらいいかという記事を、本当に何度も東洋経済オンラインに書いてらっしゃいます。
私は逆に、あまり金持ち目当ての観光に力入れてほしくはないと思いました。
金持ち観光を基盤にして国の経済を成り立たせている国というと、私がまっさきに思い浮かべるのは、

貴族と、サービス業しかないモナコ

 

です。

 

大体この方、日本のArtが好きといっても、日本発の現在のコンテンツについてはほぼ何の価値も見出してません。つくづく、貴族ぶりっ子なのですよね。本当に貴族出身かどうかは知りません。ただ、イギリス人なのでその可能性は少ないかなと思っているだけです。

 

というのは、イギリスのような国の場合、金融業というのは貴族が直に手をだしていいものとはされていないのです。基本ユダヤ系が多い。つまりWASPは本来嫌っていた。

 

まあ、アメリカまで来ると事情は違いますが。

 

それはともかく、この記事の論旨ですが、まとめると、

 

低品質低価格から、高品質高価格へ、

2.中小企業を減らし、大企業中心の産業構造にしろ、

3.最低賃金を少しづつ確実に上げていけ、

 

と言ったところでしょうか、では突っ込んでみましょう。

 

1.日本が伸びたのはそもそも高品質低価格だったから

アメリカに住んで、時々日本に戻ってくるようになると、このパターンの名残に感動します。本当に首をひねるぐらい。

 

何の話かというと、

100円ショップです。

 

いまや、スカイツリーのソラマチにも出店して観光客をバンバン集めています。

 

日本製品が売れない最大の理由は、こと海外で売るということを真剣に考えていないということでしょう。

 

その最たるものが家電、その点他に色々問題があっても、韓国系の企業は海外向けの商品開発が(これはMarketing 能力のうちです。)上手です。そして売りまくっているうちに技術開発そのものへも予算が潤い、日本を追い越すにいたってます。

 

で、欧米での日本製品の存在がどんどん薄くなっていたわけです。

 

でも、それでも高品質高価格で、売れそうなものありますよ。たとえばこのブログでも時々取り上げる、ヘルシオホットクックとか。

 

日本製の水をあまり使わない洗濯機だって、冷凍食品が綺麗にできてしまう冷蔵庫だって、Marketing次第、商品の現地化によっては売れると思いますよ。

 

後、未だに世界が日本の技術に追いつけない白物もあります。それは

炊飯器

日本の家電て、すごく先行ってます。多分こういうことに男の開発者はあまり気が付かないし。

 

そして消費の中心が、ものからコトに移りつつある今、いろいろなコンテンツを創造できる日本は売るものが十分ありますし、ことコンテンツはそうそう物の生産のようにすぐ真似できるものではありません。

 

基本、世界的コンテンツを恒常的に生み出せるのは、アメリカと日本だけです。そしてこの国レベルのキャラには、他の国が簡単に真似できない背景があるのです。

 

アメリカは世界で最初に層としての中産階級を生み出した国ですし。

 

日本はといえば、江戸のだんかいですでに一般階級向けの、メデイアを確立してますから。

 

コンテンツ大国である日本が、これからどんな風にその強みを生かしていくのかはもちろん大きな課題ですが。

 

2.だめな大企業を下から支えている中小企業が多い。

これは、日本の極端な長時間労働体制を、いつまでも温存するその張本人が、大企業であるということなのです。

 

例えば少し前に、問題になった電通ですが、ああいう広告代理店の下で働く、下請けなんて、いくらまともになりたくたって、納期に間に合うよに仕事をするためにはブラックな長時間24-7体制を続けるしかないでしょう。

 

そして、妹が建築会社の下請けをやっているので、その実情はよく知ってます。

 

知ってますか、日本の工事現場は基本土曜日完全Open,さらに期限が迫ると、休日出勤なんてことも珍しくありません。

 

日本て、いまだ週休二日制が完前普及してませんから。

 

こと、長時間労働に関する限り、むしろ問題が多く、そして問題を作り出しているのは大企業です。

 

そして、この長時間労働が続く限り、少子化はやみません。たとえ共働きでも、お金があっても子供と過ごせる時間が極端に少ない。

いや、子供を作る時間もあまりないかも。ははは。

 

とは言うものの、じつはこの方がわざわざプッシュするまでもなく、日本の中小企業はものすごい勢いで廃業しつつあります。その最大の理由は後継者不在。

 

こちらのほうが多分よほど問題でしょう。

 

3.お金で全ては解決しません。

そもそも、日本では教育費にお金がかかりすぎます。

 

私が居るアメリカでさえ、公立なら、高校卒業するまで授業料はゼロです。

 

これは、教科書すらぼろぼろでも学校で支給されるものを使います。

 

お昼も一応、ただで食べられるのです。私は娘の栄養が気になるので、持たせてますが。

自分で買わなくてはならないのは、備品と学校指定の制服ぐらい。ただ、公立のほとんどは制服ありませんが。

 

最低賃金を上げるぐらいでは、子育て環境を改善できるわけ無いでしょう。それこそワンオペがいやだったら、毎日長時間のシッターさんなしに、どうやって子育てができるというのでしょう。

 

ですから、かなり世帯収入が高くないと子供を育てられないと言っているのです。

 

だから、日本人の普通の人の賃金はもっと上げるべきですが、それと同時に社会全体が週40時間の労働体制をしっかり実施し、さらに共働きが楽にできるサポートを確立しないと何も変わりません。

 

でも、正直でこの人の言説以上に、問題があるのは、

 

’日本はオワコン’と簡単にいうインフルエンサーたち。

 

このかたたち、インフルエンサーでありながら、ここまで投げやりでいいのでしょうか。

 

確かに日本の認知度なんて、日本人が国内で信じているほど高くはありませんが、反面日本人で良かったと思うことはあります。

 

なんだかんだと言っても、

日本は嫌われていないし、やはり先進国なのですよ。

 

オワコンの日本で、もしフリーで働いているのなら、国保を使っているわけでしょう。そのコト一つとってもアメリカよりマシですよ。

 

アメリカでFPとして働いている時、老後の一番の心配は、病気と介護の問題ですから。日本は介護制度すらあるでしょう。たとえ限界はあっても、アメリカなんてひどいもの。

 

いや、中国も韓国も、まして他のアジアの国に、そんなありがたい制度はありません。

 

だから、オワコンと投げやりになる前に、自分の身の回りからでいいですから、やれることやりましょう。インフルエンサーには、たとえば市長さんや、区長さんに立候補するあたりから頑張ってほしい。

 

私の場合は、妹の会社の手伝いを通じて少しずつ始めてます。中小企業だって、クラウドサービスと、モバイル機器をうまく使えば、ずいぶん効率化できますから。

 

というわけで、あいかわらずの令和の仕切り直しでした。

 

この続編に当たる記事書きましたので良かったら読んでみてください。

 

繰り返します、日本はオワコンじゃありません。オワコンなのは日本の支配層と市場資本主義です。

 

さらに、アトキンスさん絡みの続きです。

 

日本をオワコンにしないために、デービッド・アトキンソンの最低賃金引き上げ論と、彼の論旨の深化に感動

 

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