日本ではきっとそんなに大きくは扱われていないでしょう。というか、なにか映画の中の猟奇犯罪事件みたいな取扱いかたが大きいみたいです。
トルコが発表した、この殺人の残虐行為とされるものは、アメリカではまずWall Street Journalがスクープしました。
問題のJamalさんですが、サウジアラビアではほぼ唯一、サウジ王家を公然と批判することでずっと知られてました。彼はサウジの新聞Al Watanの編集長だったひとで、彼の時代にこの新聞はサウジ国内でほぼ唯一のProgressive派の拠点となりました。
彼は一時期、あの悪名高いオサマ・ビンラディンに近づいてテロ行為をやめさせようとしたこともあるそうです。
とにかく国際的ジャーナリストとして非常に著名なひとですが、それでも2017年に、とうとうサウジアラビアから飛び出し、以来基本アメリカはワシントン郊外のバージニア州に住んでいました。
その彼は、なんとトルコ国内にあるサウジの領事館に今月の2日に入館したまま消息をたったのです。
そもそも彼がなんでトルコでサウジの領事館に出頭したかと言うと、トルコ人の婚約者と正式に結婚するために、サウジ人の先妻との離婚証明を取りに行ったそうでス。つまり彼は、
サウジ国家権力に拉致されるとは思っていなかった。
トルコ側の、警察そしてインテリジェンスの発表によりますと、彼が領事館に出頭後しばらくしてサウジからなんとプライベイトジェットで15人の調査官(というより死刑執行人もしくは拷問官)が彼一人を取り調べするためにやってきたのだそうです。
そもそも、2日いつまでたっても彼が戻らないので、婚約者が当局に申し出たところからこのニュースは世界を駆け巡ることになります。
最初は死んだと思われていなかったのですが、それが領事館から非公式に、実は尋問中に事故があって死亡したという説明がその後出てきました。
それがおとといのWall Street Journalのスクープでは、どうもすぐ殺されたらしい。しかもものすごく、前時代的な残虐な方法でです。
最初に指をカットされ、そのまま生きながら切断されてすぐ死亡というなんとも恐ろしい内容のスクープです。
日本にいても、アメリカにいても、中近東で怖そうな国、つまり秘密警察がやってきて拉致されるよな国というと、まずいまだにイランがあがります。
でも、王家がすべてを支配するサウジアラビアも実はとても怖い国です。女性はいまだにろくな人権は認められていないし、女性の側が不倫をすると基本、
死刑に値し、しかも朝の9時に公開処刑、半月刀で首を切られるのです。
ちなみに、女性の不倫とならんで即死刑に値するのが、ソドミー(BL好きなんて絶対許されません。)と廃教です。
きほんサウジの回教徒には信教の自由はなく、回教を捨てることは死に値するのです。なんというか感覚的にはいまだ中世の宗教国家で、王家はサウジが信仰するスンニ派の宗家でもあります。
ですから、今回の一件でサウジアラビアが、いかに恐ろしい前近代的な独裁国家だあることが広く認識されてしまったわけです。
これは、ものすごく今のトランプ政権にとって都合が悪い。
トランプ政権はイランに対して、経済封鎖を再開しています。これはオバマ政権が少しづつ交渉を重ねていたプロセスを完全に無視し、国際政治の動きとしてはまずいものでした。ただ、トランプファンへの受けだけは良かったですが。
さて、イランに対しての経済封鎖のためもあり、すでに原油価格は上がり続けています。もうこれは、ガソリン代が上がるとすぐわかる。
で、今回の残虐処刑事件の黒幕が、実は現王家の世継ぎ王子である、Mohammad bin Salman、こちらでは略してMBSなんて呼ばれているこの人ではないかと言われています。
だとしたら、とうぜんアメリカとしてはサウジアラビアに対して厳しい態度を取るべきなのです。
そういう背景もあってトルコはサウジの犯罪を声高に上げ募っているわけです。なにせ、トルコ自体が、つい最近アメリカ人のキリスト教牧師を2年間幽閉した挙げ句に、やっと開放したのですから。もちろん、ことが露見したあとアメリカはしっかり経済制裁で圧力をかけましたから。
どうして、サウジだけがこんなひどいことをして許されるのか。トルコはそう叫んでいるわけです。
トランプはすでに、MBS王子は関係ないでしょうなんてことを言い始めています。
なにしろトランプも、彼の娘婿であるJared Kushnerも、とにかくMBSさんと仲がよろしいので。今やほとんど世界に友達のいなくなってしまったトランプ一家にとっての、数少ないお友達ですから。
さらに、実はトランプだけではありません。
ことはサウジアラビア、最大のオイルマネーです。そこら中にポスト石油生産の経済確率のためにとにかくそこら中に投資しています。
なかでもMBSさんが、トランプとなかよしのこともありここのところサウジマネーの表に立つことが多くなって、
Tech産業への投資が増えている。
この業界というのは、基本リベタリアン思想が強い。こと税金の話になるととにかく自分本位で自分たちの利益のことしか考えませんが、いわゆるSocial Issueに関しては自由最優先。
アメリカ的な見方の場合、自由という言葉ぐらいいまだに重いものはない。
そんなかでも重いものの一つが、
Freedom of Press, 報道の自由です。
サウジの行為はこれに全く反するものです。
アメリカは政府としてどうするのか。
サウジからお金をもらっているNPO (有名大学とかもおおいのです。)はどうするのか。
そして、産業界は、特にTech産業界はどうするつもりなのか?
最後に、石油生産にどんな影響がでるのか。
今のところすべて五里霧中です。
しかも、アメリカの中間選挙まであと約3週間を残すのみとなりました。また、経過報告しますね。