`Hello World` 藤井大洋著、なんて元気なタイトルなんでしょ。で、読後最近もやもやしていたのがスーッと晴れてきました。

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ロックダウンが始まって以来、われながらとにかく

ラノベの読みすぎがひどくなってました。

で、呪術廻戦アニメの第一期が終了して以来、なんかこうアニメに要求するレベルが自分の中で上がってしまって、アニメを見る量が減り。漫画のほうも、時々読む気力がなくなる。で、そういうとても低い時に、なんだかんだと暇つぶしにはまり込んだのがラノベだったのですよね。結局ラノベの楽なところって、

結構飛ばし読みができる

特に男性読者ねらいの萌えキャラ部分とか、私はうざくて飛ばす。あと、最初結構面白くても大体3-4巻目ぐらいからその面白さが落ちるし。結局転スラ以外でそこまで読み返す気になるラノベはそう多くないし。ただ続き物で新刊がでると、忘れた内容を思い出すた目に読み返しはするけど。

で、一週間ぐらい前に、突然。

あ、もうラノベいい。飽きた

この状態になりました。で、春に日本に来た時に買った、同じく藤井大洋の、‘オービタルクラウド‘を読もうとしたのですが、

面白そうなのに、読み進めない。うー、結局

文庫本で買ったのが間違いでした。

もう、これは帰りの飛行機の中で読み進めます。で、ふと思いなおして、同じ藤井大洋の作品Kindleでどうかしらと思いましたら、もう基本すべてKindle化が進んでました。さくさくと、3冊ダウンロードして、最初に読了したのが、今回取り上げる

何でもや的、器用貧乏的、とあるITエンジニアが主人公の、連作短編集ということになるのですが。とにかく

おもしろいよー、楽しいよー

状態になりました。

なんせ、コードも書く著者であるので、ITエンジニアの基本教養的なToolやら知識が自然に取り込まれた、近未来というより、あってもいい今のお話。

で、さらにSFですが(?)欧米はあまりでてこないし、アメリカが出てくると黒人のいわゆる下層階級ののひとだったりして、その辺のリアルは思わずほっこり。(というのもおかしいのですが、最近のアメリカの状況が身に染みている私としてはこの視点はうれしすぎて。)

そもそも、最初に買った彼の本は、こちらの短編集。

で、なんでこの本を買ったかというと、実はこの短編集の表題作はこちらで読んでいたのです。

はいそうです、私が愛してやまない、そしてSFの今を一番強く形作った、

伊藤計劃トリビュートに載っていたのです 。

まあ、この後同じようにトリビュートに掲載されていた、小川哲の‘ゲームの王国‘も読む予定だし、さっき柴田勝家が南方熊楠を題材にして書いた伝奇小説なんてのもKindleいりです。

結局、この小説の一番Positiveな部分て、

GAFAにとりこまれない、でもITで勝ち取る未来

みたいな感じです。

で、この小説読んで、GAFAがどうしてだめなのかすごく簡単な言葉にできました。

GAFAって、すごく便利で大きいけど、別に正しいわけじゃない

これがすごく、すっきりした理由。それが私の個人のレベルにどうかかわってくるかというのは、次回いろいろ書くつもりですが。

作中、こんなシーンと掛け合いがありますが、ここに藤井大洋の信念が反映されているでしょう。舞台は、シンガポールで行われた仮想通貨コンソーシアム。ちょっと長くなりますが引用します。

…シアトルで取引所をやっているとかいう、あの白人、名前はーーそうそう、新自由主義者代表のマコーミック氏だ。
…マコーミック氏はいいましたね。無政府状態にあるベネズエラを‘ビットコイン‘コミュニティで買い取って、仮想通貨だけを使う国家に作り替えてしまおう。年金も社会保険もコミュニティで支払ってやればいい。そうすれば国民たちから感謝されるよ、という発言ですよ。その時の文椎さんの言葉にしびれました。
…`図に乗るな、マコーミック。ベネズエラの政治家たちは腐っているかもしれないが、一度は人々に幸せを約束したんだ。お前たちはどうだ。一度でもユーザーを幸せにすると約束したか?お前らは、ほんの一年か二年早く仮想通貨に投資しただけじゃないか。噓つきの政治家にも劣るんだよ….

さらに、この一文

…西海岸の連中はたまたま手に入れた成果を、民に与えられた政治力であるかのように考えている。….

で、ふと考えこんでいたら、能力主義に対する抜本的な疑義申し立てであるこの本が目につきました。突然読みたい本が増えたのでまだ購入してませんが、なんとオタキングが最近この本についてのかなり長い解説をのせてましたので、ついでに貼っておきます。

で、こちら