この本をを男子高校生の必読書にできるのなら、日本も変るのでしょうね。’疼くひと’ 松井久子著を読んで思ったこと

乱読、耽読、熟読

レビューを書くには正直重すぎる小説だと思う。

 

BL漫画をずいぶん前から読み続けていた私は、性愛の存在に気づいて以来、それが怖かった。

やがてそれは、日本の男たちへの嫌悪とも結びつき、私は20代の半ばにして、つくづく自分より歳が上の男を受け付けなくなり、さらに30を前にして、日本を出てしまったのだから。

もちろん、いわゆる女流作家が、女性の性(たいてい、サガと読ませる)について書いた小説は、それなりにある。たとえば、この本

物語も、なんせ戦前の色町が舞台だから、ものすごく古いけど、問題なのは性愛の描き方。

なんせ、主人公の芸妓は、40そこそこで、古めかしくも出家してしまうのだから。もちろん、彼女は自分性的欲望、そしてそれに突き動かされて生まれる恋情をつくづく呪った挙句の得度なのだから。

だからこそ、私は性愛が怖かった。なにやら女のさがとか、子宮感覚とか、いろいろ言われるたびに、そんなものがあるのかと思うと、それが怖かった。

そして、それを逆手にとってつけこみ、女性を貶める存在が男性だった、まあ、だからこその、日本的処女崇拝は、ずいぶんと長く続いたものだった。

それが、高年齢出産で娘にめぐまれ、還暦を過ぎ、今や、

BL漫画や、TL漫画で、

明るくも、狂おしい肉体コミの恋愛描写に結構耽溺している

 

もちろん、現実の私と異なって、こういう数多の物語の主人公たちは、

若くて美しい

 

バリエーションとしての、女性が年上、(BLだと、年下攻め)もあるけれど、年上の女性といっても基本30代が中心。私が知る限りだと、TV’ドラマでブレイクした’逃げ恥”のサイドエピソードて、女性が50過ぎの処女という設定が、たぶん最高齢だと思う。

でも、この’疼く人’の主人公は、

’七十歳’を過ぎている。

 

実は、同じような年齢の女性を主人公にした恋愛小説は、少し前にも一つ大きな話題を呼んだ。もちろん、この本

すごくこう、元気の出る本で、まあ岸恵子さんはとにかく日本人としては最高のハンサムウーマンでもあるので、いまだに時折読み返す。

ただ、こちらの小説には、ほとんど具体的な性愛描写はなかった。ただ、主人公たちが肉体共に結ばれるために、努力したという描写で、この小説の恋人たちが、肉体的にも情熱を持っていたであろうことは伝わってきた、そんな感じだった。

だから、逆に、’究極の大人の恋、あるいは人生最後の恋’みたいな読みやすさがあった。たった主人公の女性が70歳近く、そして男性が20歳近く年下であったことを除いて。

さらに、この小説は、いわばセレブの世界だった。だから、かなりいわゆる生々しさが薄れ、それもベストセラーとなるような読みやすさにつながっていったと思う。

でも、’疼く人’は、非常に似て非なる小説だ。

この恋は、’大人の’とか’セレブ’とかの形容詞が付くような華やかさはまったくない。

主人公のじょせいこと、脚本家として成功したという設定ではあるけれど、物語の冒頭では、そりゃー古希だし、まったり料理しつつおひとり様ライフですよね。

で、彼女の恋は、なんと

Facebook ページへの友達リクエストから始まる

 

そして、初めてリアルに向き合うまで、

Lineでの、会話がどんどん親密になっていく

 

はっきり言って、この会話とか基本、

映画(文学)少年少女か、という初々しさです。

 

けれど、そこが、還暦すぎてもBLやTLをせっせと読んでいる私からすると、

実は一番生々しい

 

日本の男性って、30代以上、(まあ最近は50歳未満までは、個人差を認めるぐらいにはなっているかもしれないけど)の女性は、すでに女性ではなくなっていると決めつけている。

だから、少し前の中年女性の韓流ドラマブーム(ヨン様、とか懐かしい)とかも、すごくばかにしていたでしょう。

でも、見かけがおばさんになっても、ババアになっても、心の底に、

夢見るような恋への憧憬は普通に隠されています

 

これが、男だと、

中年男性が少年の心を失わないとかドヤるよね

 

まあ、別にそれはいいけど、でも、自分がそうなら、普通に考えて、おばさんが少女的感傷を、心の底に秘めていても何の不思議もないでしょう。

この辺に関しては、いくつになっても結構ロマンチックは好きな欧米男性のほうが、やはりましだろうなと思ってしまう。

まあ、月並みな言い方すれば、

花をもらうのは、いくつになっても嬉しい的なこと

 

さらに、もっとも秀逸と私が受け止めたのは、

主人公蓮という男性像

 

彼は、’わりなき恋’に出てくるようなセレブ的世界とは全く無関係。

高卒で、55歳で、建築現場で働いている、いわば

まったく非都会的な男

 

でも、私たちが、本当に恋に落ちた時、別に相手の学歴や経済力や、ステータスに惹かれるわけじゃない。

少しずつ言葉を探しながら距離を縮めていく過程で、心が響きあう

 

それなのに、ずーっと長い間、そこから性愛へとスムーズにつながることがなかった。

でも、もう今更何も失う’美徳’などない燿子と、’女が好きな’蓮の性愛は、最初気まずさを乗り越えた後、自然に深まっていく。

確かに、いろいろな行為は描かれる。それに異常性行為のようなラベルを張る人もいるのだろうとは思うけど。

私は、BLとTLで、もう充分微に入り細を穿ち、勉強してますからどうということもない。

私がむしろ強調したいのは、蓮のような男のすばらしさは、それこそある年齢や経験を経ないと分からないだろうし、そしてそれ以上に、日本の男には理解しがたいのだと思う。

男たちはつい最近まで性愛のばで女を傷つけるだけだったから

 

そんな男たちと性愛を楽しめたのは、最初から男との対等な身分など投げ出していた女たちだけだった。

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と、まだ、一回読んだだけの感想。

まあ、私は日和見なので、たぶんこの先2次元恋愛ぐらいが席のやまでしょうね。あ、でもふと思ったのだけど、もっと私たち、高齢女性が主人公の恋愛小説とか読みたいし、書く人いなかったら書いてみてもいいかもしれない。

 

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