昨日は、砂町アリオという、イトーヨーカドーが中心の歩いて25分ほどのモールに行ってきました。ゲームコーナーがあるのと、まあいつも錦糸町やソラマチだけではモノトーンなので。
歩くのは暑いのですが、江東区は運河沿いの遊歩道がとてもきれいに整備されているので、娘はかなり大好きな散歩コースです。
さて、モールに行くとどうしても本屋に寄らずには済ますことができない私ですが、昨日もこのモールの本屋に行き、娘が我慢の限界にたっするまでいろいろ漁ったわけです。
で、幻冬舎文庫の棚まで来たところ、たまたま山田悠介の文庫本特集をやっており、その釣りが、
今中高生に一番人気のある作家
とあったので、すごく興味が湧きました。あと、一体に幻冬舎文庫に入る作家は、今までの大手出版社が取りこぼしてしまったような作家をうまく取り上げることが多いので、まあひどく外れることはないだろうと2冊買いました。
正直な最初の感想は一言、
薄い。
例えば、つい一昨日読んだばかりの、こちらの本に比べると、ちょっと薄い。ただこれ一種のラノベというか、ジュニア小説というのならわかる。
でもすごく引っかかるのです。なぜ中高生にそれほど人気があるのか。
私じつは、Hunger Gameが映画化された2012年、すごくはまって原作を全部読んだ後、やたらデイストピアタイプのアメリカのラノベを山ほど読んだのですね。
こういう時Kindleは本当にありがたかった。
で、日本人のハンガーゲームに対する月並みでネガティブな反応って、
ああ、バトルロイヤルのパクリ
なんですが、実際の小説はとにかく、
濃い
これこそ、日本の中高生にも、大人にもばかにせずに読んでほしいですがね。とくに第一部はすごい。
アメリカでは、この作品のせいでアーチェリーを習う女の子が一時激増したという話があるぐらいで、この作品の場合映画化のレベルがとにかく高かったということもありますが。
ともあれ、アメリカのこの手のラノベと、日本のバトルロイヤルのような映画や今回の‘リアル鬼ごっこ‘のような作品をじかに比べるのはたぶん意味がないのです。
全く異質なものとして両方読んだほうがいい。
実に普通の小説として読むと物足りないのですが、逆に
不条理劇としてならとても新鮮です。
変な言い方ですが、日本でも西洋でも、子供の遊びやわらべ歌ってよく考えると怖いですよね。
で、‘鬼ごっこ‘ですよ。
子供にとって、今の日本は不条理に満ちているという実感がたぶん強すぎるのです。
日本の今腐敗が進むシステムの一番恐ろしいことは、誰かトップを倒せば何かが変わるという希望がもてないこと。
500万人の佐藤さん殺害命令を、鬼ごっこという子供の遊びでひねったのが単に気まぐれな王様という抽象的な設定だから、逆に怖いのだと思います。
だって、いじめにどうしようもなく従ってしまうのは、はっきりといじめを避けるすべがなく、何らかの拍子、単なる偶然で自分がいじめの対象になってしまう。それが怖いからでしょう。
このお話のもう一つの怖さも、狩られる理由が、あまりにも置き換え可能であること。
佐藤さんは、鈴木さんであっても、中村さんであっても別におかしくはなかったのです。
この不条理には歴史的背景も個人的トラウマも、政治も全く関係ない。
まるで任意に選ばれている。
子供たちがこの作品を読む場合、必ず主人公に自分を重ねて読むはずです。だとしたらこんなにリアルな恐怖劇はないでしょう。
それに大して、‘魔界の塔‘は、まあ少し書きなれてきたということ以外、非常に頭に来る作品でした。
たた、この作家は何かとても大事なコトを実感として抱えている感じがするのです。
で、Kindleをセットしてあとすうさつ、Review の良いものを読んでみようと思います。