‘囀る鳥は羽ばたかない’ 第7巻、 前巻ラストから4年後、矢代と百目鬼の邂逅のその先は…もちろん見えるわけがない

BL漫画評

ああ、この物語はもう予定調和もハッピーエンドも、はなっから放棄しているんだなあとまず、いまさら思う。

でも、それでも、第43話の扉絵には正直、息が止まった。

iPadでRentaを使って読んでいて、隣には丁度娘が座ってGame していた。

私は、マジ声出して、

うー。うー。うなってしまった

 

いや娘にどうしたのと心配されました。

本当にうなるぐらいなほど、美しい。

真っ黒なバックのもと、横たわる矢代と、その後ろに座る百目鬼。二人とも相手を見てはいない。

矢代は伸ばした手のなかに鳥の羽を握っている。

その腕を、百目鬼はしっかりとつかみ離さない。

この二人の物語は、第六巻で、終わってよかった。 死ぬはずだった矢代は、百目鬼の命を助けるために死にぞこない、だからこそ百目鬼を完全に拒否した。そうやって物語は終わればよかった。

だって、その直前の、矢代と百目鬼の性行為は本当に

あまりにも痛々しかった

 

矢代は、着衣で、ほかの人間に目に映る限り、

この上なくエロい美人だけど、

 

お互い本当にかけらも楽しんでおらずなおかつぎりぎりでやめることができない、それが二人の性交だったから。

第七巻で一つだけ非常にはっきりしたことがある。

百目鬼は、自分の矢代への執着ゆえにすべてをかけて物語を無理やり動かし始めたというコト。

百目鬼の顔にはすでにいくつも傷があり、一方矢代は平田との抗争のさなかに片目の視力を失っている。

さらに、矢代なりの思い入れなど我関せずと、百目鬼は結局平田ともといわば敵対関係にあった組で、結局極道世界の住人になった。

百目鬼にやくざ世界のつてをつけてやったのが天羽。この男はそもそも矢代を気に入っている三角の義理の息子で、さらに三角に心酔していわば秘書のような役割を担う男。三角は百目鬼をあくまで拒否したが、結局この男が百目鬼のためにわたりをつけた。

4年ぶりの再会の後、矢代は百目鬼の今の頭である、綱川と百目鬼とのいきさつについて尋ねられる。

韜晦の塊のような矢代だけど、百目鬼の板についた極道ぶりのせいか、かなり率直になぜ百目鬼を手放したかを語る。

’’俺は極道の中でも、道を更に曲がりまくっているようなひん曲がった人間です’

’そんな男に従うこいつが不憫で捨てました’

 

確かに、いまだに矢代に付き従っている七原がつぶやくように、かなり本音が混じっている。

今回は、まだレビューを書けるような状態じゃあないけど、矢代と百目鬼が4年ぶりの邂逅を果たした直後、矢代が誰の目からもはなれたいられた一瞬があった。

その時矢代は、ほんの少しうつむいて悲しそうな顔をする。矢代はいまだに百目鬼に追いかけられる夢を見るのだ。でもそのすぐあと、まるで覚悟を決めたかのように。

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あんまり感じ入ってしまったので、昨日は2巻からまた読み直した。6巻は何度も読み返しているけど、私は結構5巻の性交シーンが痛々しくてあまりシッカリ読み込んでいない。

れっきとした腐女子として、濡れ場は本来楽しむべきもの、あるいは寿ぐべき世界であるはずなのに、それができない。

ただ、つくづく、この二人が普通に結ばれるなんて

無理だとしか思えない

 

どんな闇にルーツがあろうとも、矢代の矜持は本物だ。そこが彼の極道としての凄味だ。

百目鬼はその矢代から、

Vulnerabilityを引きずりだそうとする存在だ

 

百目鬼は一体どうするつもりなのだろう。まるで二律背反じゃないか。強引に矢代を犯すのなら、矢代は百目鬼を普通に受け入れ完全にObjectify できるでしょう。

一方、いまさらあの痛いたしい性行為を繰り返したって、とてもじゃないが矢代が受け入れるとは思えない。

ただ、4年という年月が、一体矢代の何かを変えることはあったのか。それだけは私にはわからない。

 

私が言いたいのは、まちがっても、

矢代は救われない。救われたら最後、彼は自分を統一している拠り所を否定することになるのだから

 

だいたい、この二人が生きている世界に救いはない。救いを拒否するところから始める世界だから。

 

この複雑さは、もっともホモソーシャルな世界であるやくざが舞台だからこその、男同士の恋愛だからこそ踏み込める、私にもよくわからない場所へと続く予感がある。

いまはそれだけだ

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