このBL漫画の魅力ってほぼ不可知領域に達してます。

 

とあるDK(男子高校生)思いつめた表情で悪魔を召喚

 

めでたく登場した悪魔は白い魔界の大公爵J、さてこのDKマコトが契約と引き換えに臨むものとは?

 

はい、ここでこの’MADK’ 硯遼作の漫画完全にいままでのフツーの常識世界をぶっ飛ばします。この先は、(といってもたかだか10ページ目ですが、一番ショックが大きいので、そのショックを味わいたい方はここで読むのをやめましょうね。で、読んでから戻ってきてね。)

 

警告しましたよ。

 

私完全に目が点になりましたから。

 

実は、このショックのせいでもうそのあと何が起きても普通に受け入れてしまたのですよ。

 

悪魔は天使のような大きな白い羽をもち、全体が白っぽくてとてもきれいだし。

 

全然おどろおどろしくないし。

 

では、いきますよ。

 

DKマコト君はいかにもかっこよく登場した美形悪魔にこう言ったのでです。

 

”悪魔のお肉が食べたいです’。

 

え、なにこれ、なんなの?

 

話の始まりがこれですから、カニバリズム(まあ相手は悪魔ですが)、人外、グロと何でもあり状態です。

でも、漫画を読んでいる間に本当にみごとに気持ち悪さもグロさも感じないのです。

それこそ読者である私たちの普通の常識的な反応が一時的にマヒさせられてしまった感じです。

 

さらにこのお話の凄いところは、

 

ヤンデレではない、これです

 

マコト君には、異常としか言えない性欲がらみの強い情動があります。それは悪魔を相手にするのでもないかぎり、この世では満たされない。

でも、彼は自分の情動のままにこの世では猟奇犯罪としか呼ばれない行為にはしるわけではない。

いや、確かに動物の死骸の切れ端とか、死体写真とかまあ集めるけど、フツーのサイコパス(なんという言い方)のように、たとえば生き物を切り刻むとかもしません。

 

それからしばらく、下半身モツ状態になってしまった美形悪魔との会話そして、食事生活(?)が続きます。

そこで、なにせ相手が悪魔なので、彼初めて自分の人外な情動について語るのですね。

 

この辺はもう、もろDKと美形おじさんカウンセラーのノリです。

 

で、悪魔のJさんは、だんだん彼が気にいり、そこは悪魔ですから彼が隠している情動を自分の体を使ってかなえてやるのです。

が、それは逆にマコト君に自分自身のの情動の深淵をつきつけることになります。

 

で、ヤンデレでないマコト君は、満腹を告げこの時点で契約完了。

これで死ぬはずだったのですが。

 

Jさんはすっかりマコト君が気に入り、彼を一人前の悪魔に育てるという一大プロジェクトをたちあげるのでした。

 

というわけで、この奇妙で美しい異世界の夢をみているようなお話が本当にはじまるのです。

 

 

悪魔の世界は人間世界とは違う価値観で動き、お話が進む中で、すこしずつ麗しい異形キャラたちが登場していきます。

 

ああ、でもVisualばかりの漫画だなんて思わないでね。

 

マコト君がめでたく悪魔になるまでには、Jのいうとおり彼には学ばなくてはならないことが本当にたくさんあります。

 

で、マコト君の’修行’を通じて私たち読者も、この漫画の悪魔世界の法則やら、価値観やらを少しずつ吸収していくのです。

 

そして、その過程も、人間世界の倫理観からは全く無関係であるがゆえの、蠱惑にみちたPoint of Viewであったりします。

 

 

さらに漫画ならではの視覚文法ゆえ、シリアス、グロ、エロ、ギャグ、萌え、情緒など本来矛盾すべき情念の色合いは何の前触れもなく変化し、無理もなく流れていきます。

 

何度読み返してもああ気持ちがいい。

 

ちなみに、一部のレビューに、食事中とか読まない方がいいとかありますが、普通にBLの激しいエロを見慣れている人なら、そういうの、これ照れ隠しの言い訳でしょう。

 

だって、とても早い時期に、私たちはこの漫画世界に浸るためにフツーを放棄したのではないですか?

 

ああ、なんだか私レバ刺しと楽しい会話ができそうな気がする。

 

 

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