’コミックパーティワンダーラブ’ 山野でこ BL漫画家同士の笑撃ギャグ、でも最後は可愛く萌えてキュン

シェアする

えー、本作はそもそもBL漫画誌リンクスに隔月で連載された5作と、書き下ろしの’コミックパーティサプライズラブ’を加えた単行本です。

なんでこんなことを事細かに書くかというと、なんと4作目まで、二人が本当にBLのカップリングになるかどうかははっきり描かれていないのです。

これ記録ものでしょう。

正直初めて読んだときは、私でさえびっくりしました。私はエロが濃かろうが薄かろうが、作品としての完成度第一ですからね。それでも、まあ担当さんがよくこれ通したなあという感想をいだきながら読み進みましたよ。

今となっては、逆につくづく再読に耐える数少ない作品で、さらにギャグとBL的要素が上手くミックスしている貴重なお気に入りになりました。

いや、普通におもしろいギャグもいいのですが、やはりBL漫画を読み込んでいるからこそ受けるギャグが、

笑撃です。

お話は、イケメンの畠雷蔵、ペンネーム雷蔵さんが、イベントで本を買いに来た妙な黒ずくめ(しかもジャージ)のマスク男に出会うところから始まります。

実は、この男雷蔵くんが書いている商業誌の作家TOSさんで有ることがわかります。

とにかくこのTOSさん、どうも雷蔵くんのかなりのファンみたいなのですが、ひとりぶつぶつつぶやき、さらにおしまいに

’死ね’

とつける。典型的なシーンはこんな感じで、とにかく笑ってしまう。

雷蔵くんは、限りなくToSさんが謎。だって、よく聞くともう絶賛何だけど、一見悪態風。それでも、実は微妙に、Tosさんになし崩しに押し切られた顔のように、どんどん出入りをゆるしてしまう。雷蔵くん。

さらに、笑える設定は、徹底的ギャップキャラ、

完全根暗風ほぼ引きこもり言動全開の、基本黒いジャージ上下しか着ないToSさんの各マン側、さわやかほのぼの系、あま~いBL漫画。なんだかんだと面倒をみてくれ、さらにアシまでやってくれる長年の友人中田には、基本少女マンガと言われてます。

一方、見た目も言動も、爽やかイケメンキャラの雷蔵くんが書くBLは、いわゆる闇系でエロもギンギンのBL漫画。

まあ、ぶっちゃけ、いちいち、Shadowマッチングな二人ではあります。

さらに、なし崩しに、Tosは雷蔵くんの漫画を絶賛し続けその行きがかり(?)という感じでなんと

お付き合い

という話になったのですが、別に二人の間がBL的に発展することはまったくないのです。

そんな二人ですが、漫画家の修羅場がらみの、いかにもギャグが楽しく続く中、雷蔵くんは、Tosさんが、この’お付き合い’を彼の友人中田に告げていることに気がつきます。

すべては、漫画がらみだと言い聞かせて北、雷蔵くんに、Tosさんは、ぼそっといいます。

’それは雷蔵先生視点のお話でしょう’

このあと、すべては漫画がらみと言い聞かせてきた雷蔵くんは、いわば自分とそしてTosさんの気持ちのリアルさに気づき、

やはり付き合えないと立ち去る。

このあと、雷蔵くんのBack Storyなども、出てきますが。

この漫画がなんともうまく、ある意味複雑なのは、自分の気持、性癖、と自分が描いてしますBL漫画に現れる世界の二重写しの世界観。

メタレベルと、

漫画世界と、

リアルと、

そしてさらに、やがて現れる自分が隠してきたなにか。

ギャップと書きましたが、実は更にその奥にいわば二人の気持ちの本質が隠れていて、しかもそれはむしろ漫画世界に反映されていたという構造。

まあ、こんなこと考えながら読んでいわけではありませんが、何度も読み返すうちにいろいろひっかかるネームが増えてきますし。

あ、一応最後はハッピーエンド。やはりTosさんかわいいです。 一度振られたあと、雷蔵くんの誕生日の前日に、突然この姿で登場。

友人中谷黒のミノムシ呼ばわりされてましたが、ジャージを脱ぎ捨て、ヘアカットし、さらになんと同じ黒でも黒シャツとネクタイ姿で現れたTosさんは、30近い年齢と言う割には、むしろ

美少年ふう

もしあなたが、BL漫画読みを自称するのでしたら、これ絶対何度読んでも発見のあるおすすめです。