BL漫画を読んでいないわけではないのですが、そう簡単にピンとくる新作には出会わないものです。レビューをするとなると、私にとってはどちらが偉いというわけではないにしろ、結構力が入るものなので。
で、少し前にこの第4巻がでて、すごく感動したことをちょっと忘れてました。まあ、それには特別の事情もあるのですが、そちらはあとで説明します。
この作品に関しては、第三巻が発売された時点で、一度記事を書いています。というわけでBackground的なことに興味がある方は、まずこちらを読んでください。
‘In These Words’ ギルトプレジャー作、これBL劇画と呼べるジャンルとつくってしまった記念的作品
今まで、手を出さなかった方もコロナでロックダウンもあるし、4巻まで出て本当に読み頃です。話の感じだとあと一巻ぐらいで終わる可能性もあり。
以前の記事でも書きましたが、正直言って2巻までだといやゆるBLカップリングがはっきりせず、むしろGayのシリアルキラーを操作するサスペンススリラーとしか見えないぐらい。
ただし、主人公のプロファイラーで精神分析医である浅野克哉さんが、まあ
とにかく美人です。正直ため息が出そうなぐらい。
で、お話としても、この克哉という男性の計り知れない魅力がKeyになっているのですね。
劇画って漫画と違って、普通原作と絵を描く人は別人。
ただ、日本の劇画はアメコミと違って、すでに非常に魅力的で繊細な色気がある画力のある劇画作家さんは存在を確立しているわけです。
ただ、3巻までがより明晰さを感じさせる色気だとするのなら、4巻にきて、結果的に克哉を深く愛してしまった捜査本部主任の篠原の情感が胸に迫るのです。
浅野さんて、こう割といかにも男性的でしかもハンサムな男たち、さらに純粋なGayではなくていわゆるBisexualの男たちを狂おしくさせる何かを持っている。
という風に描かれていて、そして私たち読者はそれを劇画を通じて、さもありなんとうっとりしてしまう。
そうそう、浅野克哉先生は、まちがっても受け身でちょっと繊細で見たいなステレオタイプとは違いますので。
ネタバレになりますが、
結局シリアルキラーだって、浅野先生に魅せられた一人だったわけです。
さて、実は私この4巻を繰り返し読んだ後、それでも物足りず、思わずこちらを購入してしまったのです。
で、これ言わば浅野克哉さんが、New Yorkで働いていたころの前日譚なのですが、なんとそのころの恋人だった警官は実は、かつてSM地下Worldでマスターをやっていたという前歴の持ち主で、それを知った克哉さんがその恋人の勝手の知り合いに調教経験をお願いするという非常にハードな
SMのGay 小説です。
実は、アメリカのSM界のこと少しだけ知ってます。というのはLGBTに友人が結構いたのでそういう話も結構でてくる。ストレートに比べて、やはりGayのほうがSMPlayに抵抗のない人が多い。で、この小説を読むと日本人のイメージするSMとかなり違うというのがよくわかると思います。その意味では正確ですね。
で、私はつくづく浅野克哉というキャラクターについて考えこんでしまいました。
こういう、M体験、あるいはSubmission体験がある人って、実は
非常にメンタルが強い人がいるのです。
さらに、この小説の時点でも、元恋人がどれだけ浅野克哉に執着しているのかがもう哀しいぐらいはっきりとしてしまう。
で、結果的に篠原の情感に感動していたはずの私は、克哉さんという美人さんの魔性度に圧倒されて劇画のほうの読後感がかなり吹っ飛んでしまったのです。
まあ、今改めて最初から読み直すと、なにより篠原の反応が今まで以上に意味を帯びてくるのがたまりません。
殿堂入りは当然でしょうね。