私は基本ホラー映画が大好きです。
さて、確かに評判のいいホラー映画はなるべく見ておきたいたちですが、一方私がホラー萌えする映画は、ずっと限られ知恵ます。
ゾンビー映画はどんなに映画としてよくできていても絶対萌えません。
スラッシャーものも、基本今一です。まあ、ロブゾンビのものとか、オリジナルのTexas chainsaw massacre (邦題は’悪魔のいけにえ’、ほらあの電動のこぎりで追い掛け回される映画。)とかは、本当に怖かったので好きですが、でも萌えとはちょっと違う。
たとえて言うのなら、Marilyn MansonのPVを可愛いいと感じ、萌えてしまうといったところかしら。
いったんホラー萌えしてしまうと、本当に何度も何度も見てしまいます。だからついいろいろな細部にシッカリ拘泥してしまいますし。
不思議と、6作中封切り中に映画館で見たのは1作だけ。ともかく、私が自分の中にあるホラー萌えに気づいたカルトホラーから話をはじめましょう。
Suspiria 1977
これは最初に見たのがものすごく昔なので果たしてどこで見たのかさえ覚えていない。たぶん封切館でなく2,3番館でほかの映画とタイアップになっていたのだと思います。
とにかくこれがきっかけで、私はある種のホラー映画がものすごく好きだということに気が付きましたから。
この映画は、イタリアのホラーファンの中では熱狂的なファンがいるダリオ・アルジェント監督によるもの、ただ私は残念ながらこの映画以外の彼の作品を見ていないので、その辺でとてもじゃないですがダリオマニアとはいえません。
この映画、主人公こそアメリカ人ですが、設定はドイツにある全寮制のバレエ学校。
空港についた主人公が、大雨の中タクシーから一人取り残されるところからすでに、別世界への転送が始まっているのです。
やっとの思いで中に入れてもらったものの、訳の分からない年上の生徒らしき女性と学校のスタッフらしきオンナとの口論。
そして、何よりこの映画のカルトステイタスを決定的にしたのは最初の殺人。
若い女が、年代物の美しいステンドグラスを突き抜けて転落してくるのです。その酸鼻な映像の美しいことといったら。
たぶん、耽美な死にざまベストスリーには入るはずです。
さらに、この映画が凄いのはすべてをつつむ、怪しくかつ妙に愛らしい、本当に愛らしさがあるのが秀逸なサウンドトラック、その名もGoblinsというイタリアのテクノバンドのようなグループが創作したもの。
去年が40周年記念で、なんとこの秋リメイクがリリースされるそうです。たぶんそれなりに面白いものにはなりそうだけど、オリジナルの個性を超えるのは無理でしょう。
Nightmare on elm street 1984
そのあと、それなりにホラー映画はみてますし、大ヒットした映画、エクソシストとか、オーメンとかありましたけど、私が耽溺する対象にはなりませんでした。
アメリカで大学生活を始めてすぐの冬、結果的にビデオで見たのが、この’エルム街の悪夢’。最初につきあったアメリカ人のBoyfriendの家で、Videoを借りてもらって見たのです。
あの頃、さすがTVだけは小さなものを持ってましたが、まだ寮暮らしで、Videoのレンタルも限られており、何より車の免許さえ持っていなかったので、色々な意味で行動範囲が限られていました。
そんな状況で、私の心をとらえて離さなかったのがこの映画のスポットです。高校生の女の子がバスタブの中でうとうとしているとバスタブの底が抜け誰かが深く暗い淵に引き込もうとする。さらに、彼女が二階の自室への階段をのぼりはじめると、階段が泥沼状に変貌し、足を取られ先に進めなくなっていく。だからもがいて、もがいて。
この映画で、私たちが馴染んできた’悪夢’の感覚が初めて、ホラー映画として描かれたのです。
ほかにも、ナーサリーライム(子守歌にあたるもの)とか、高校生ならではのあの時期の不安とかが’悪夢’にからんで、下手をするとフレディ・クルーガー主人公のスラッシャーものではおわっていたはずのものが、一種新しいタイプのホラーを見出したのですね。
このシリーズのおかげで、ウェス・クレイヴンはホラー監督として有名になり、フレディを演じ続けたロバートイングランドもブレイクしました。
私は一応ほぼシリーズ全作見ていますが、まあいろいろな悪夢ネタを、毎回楽しみにはしているものの、第一作とはまるで違うものです。
あの、神経をキリキリと逆なでするような緊張感に、私は萌えたのに。
Nightbreed 1990
メリーランド州立大学で、大学院生活を始めるころには、かなりアメリカでの学生生活に慣れていました。あの頃はとにかく自分としても、よくぞと思うくらい四六時中勉強に明け暮れ、基本、金曜日の午後のマチネが、一週間で一番リラックスできるひと時でした。なにしろ、土日も、家事や遅寝を除くと、半日は勉強時間に充てていたので。
そのころ、映画館で見て感動したのがこの映画。あまりに気に入ったので、一週間後に友達の一人を説得して、もう一度見に行きました。
そのあと、付き合い始めたBFがホラー映画だめな人だったので、近くにオープンしたビデオクラブに入会した後も、彼と別れるまではほぼ卒業の一年前まで、ほとんどホラー映画を見ない時期となりました。
映画の原作は、Steven Kingが自分の後継者と絶賛模したClive Bakerの短編。邦題は’ミディアン/死者の棲む街’、一緒に見た友人が、最初に言った言葉が、’普通のホラーと違って、悪い奴といいやつが逆なんだね’。
ミディアンに隠れ住むのは、異能をもった異形のフリークスたち。主人公は繰り返される悪夢の向こうに、自分が本来そこに属するものであることを見出していきます。
私は異形のものが好きです。この映画、劇場版はとにかく短い。だから特に後半、話が橋尾られた感があります。なんと41分もながい、Director’s Cutがあるそうなので絶対見なくては。
私が一番ホラー映画を見なくなった時期と重なるので、ここに挙げたほかの作品とちがい、たぶん劇場で2回見た後、偶然一部を2度ぐらい目にする機会があっただけ。
でも、それでもあの熱狂は忘れません。
ちなみに、実は重要な悪役を演ずるのが、なんとあの超変態監督でデヴィッド・クローネンバーグ、あ、これほめてます彼私の大好きな映画監督のひとりですから。
この映画の最大の見どころはクライマックスではなく、ミディアンに住む異形たちをまるでフリークショウのように、紹介していくロングシーン。
私、かの有名なTodd Browningの’Freaks’ (実際の奇形者や障碍者を使ってとった、イギリスでは30年お蔵入りになった作品です。フリークスたちは正直とても愛らしく、一体どういう感じを抱けばよいものか、私も悩んでしまいましたが。)も観てますが、Nightbreedのほうが心置きなく楽しめます。
Clive Baker原作、あるいは監督の映画のなかでは、たぶん一番知られていないけど、私の大好きな作品です。あ、ちなみに、一時Clive Bakerにはまっていくつか英語で作品を読みました。基本、長編はものすごく読みずらい。
なぜか、作風はサイバーパンクというジャンルを確立した、William Gibsonの読み辛ラサを思い起こさせてくれました。
Hellraiser 1987
先のボーイフレンドを分かれて、まあ落ち込む時間もたたありましたが、反面ダウンタイムに、それまでは見る機会がなかった自分の見たいビデオを借りまくりました。
もちろんホラーも、
そのなかで一度ではまったのが、Hellraiserシリーズ。ホラーシリーズの登場する有名キャラはいろいろありますが、このシリーズの通称ピンヘッドが、その格好良さ、ファッショナブルさ、そして不思議な美しさゆえに、私のトップです。
このキャラを演じるのはイギリス俳優のダグ・ブラッドレイさん。
彼が演じるピンヘッドは、奇妙なパズルボックスがカギとなって開く一種の地獄に住むもの、セノバイトと呼ばれ、元は人間だったものの、この地獄に引き込まれ魔導士となり、パズルを解く人間たちをいわば地獄に引き込んでいきます。
実はこの映画、Nightbreedと同じClive Bakerの短編がまた原作、さらに彼が監督もしている。
この映画は、Bakerがイギリス人であるせいか、ホラーがらみの要素がとても性的に暗く濃いのです。そもそも、一作目の主人公は、アルゴラグニア(疼痛性愛)に取りつかれた性的倒錯者ですから。
ちなみに、私がはまったのは、オリジナルとその二年後にリリースされた第二作、原題Hellbound、一作目の重要キャラが復活してのお話で逆に2作できちっと完結したと言えます。
その後はシリーズとなり、まあエルム街の悪夢のように、オリジナルとはあまり関係ないおはなしになっていきましたが。なぜか、ロココ時代の話になったり逆に未来の宇宙空間の話になったり、バラエティーには飛んでいたので、結構楽しみにしていました。
ちなみに、ピンヘッドと同じぐらいはまったのが、毎回違うパズルボックスエフェクト。とても響くのです。
未来のはなしなんて、メインのお話はいまいちだったものの、とてもスペシャルなボックスエフェクトが本当に素敵でした。
Silent Hill 2006
今現在で、一番好きな、あるいは偏愛するホラー映画を上げろと言われたら、私はサイレントヒルを上げます。
でも、これたぶん一般的ではないかもしれない。実感としてまだ少女である娘と母親の特殊な絆が分からないとそこまでの偏愛には至らないと思うから。
そもそもこの映画は、ゲームをやったことのない人間に取って、(いややっててもかな)とにかく一度見ただけでは、すごく混乱するのです。
それはひとえに3つの時系列の異なる世界が同時に描かれるので、その区別や特質をハッキリつかんでいないと、どこがどうつながるのかものすごくわかりにくいのです。
大体私自身、Vacation先のホテルでなぜかこの映画を選んで見てしまったとき、ものすごく分けが分からなくて混乱しました。
なんと、わざわざWikiでこの3つの世界のつながりを理解してそのあとで、もう一度見直したのですから。
もちろん、わざわざそんなことをしたのには訳があります。Silent Hillのモンスターたちが跋扈する時系列に属する世界のモンスターたちが、その姿かたちも、動きも、音もとにかく美しいのです。
まあ、普通のひとは、きもいとか、グロいとか、怖ーいとかいうのでしょう。
私は、Makingまでみましたから。本当に人間とは全く異なる禍々しい動きを、いかにつくりあげていったかとか。ぶっちゃけ、現代アートとかモダンダンス的な感性。
たとえば、フランシスベーコンという現代画家の描くタブローを思い浮かべてください。
さらに、この時間系列世界が始まるたびに、世界そのものがあっという間に腐食していきます。その効果がとにかく素敵です。
Marlyn MansonやNine inch NailのPVでも使われたTexutureですね。
そして、お話そのもの少女の復讐譚なので、それまでにいたるいわばBack Storyの部分は非常にグロ怖い。
さらに、この映画で一か所私がほとんどトラウマになってしまったFXシーンがあるのです。キャラの一人が独特な形態で火刑にしょせられてしまうのですが、そのシーン決して長くはないものも、あまりにリアルで、なんとこの私がこの映画を見るたびにスキップか、目をつむる始末です。
私はこの映画の終わり方がすきです。仄暗いリンボにいわばとりこめられてしまうのですが、それをどこかで幸せと感じる感性もあるのです。
この映画にはいまだに空きが来ません。
監督はフランス人のクリストフ・ガンズ
製作はフランスとカナダの合作。そして皆さんご存知のようにSilent HillはSony Playstationの人気ホラーゲーム。
アメリカのメインストリームホラーでは絶対出てこない。
ちなみに、一応続編が作られていますが、どこをどうやったらこんなにひどいもんが作れるのかという超駄作でした。というか、一体監督も脚本も本当にプロの仕事なのかうたがうほど、めちゃめちゃだったのです。時折オリジナルのエフェクトをリサイクルしてるシーンが逆に悲しかったです。
もしあなたが女性なら、あらかじめ3つの時系列を理解したうえで見てみてください。
Constantine 2005
思いのほか熱く語ってしまった私が偏愛するホラー映画たち、最後を飾るのは、この手の映画にしては珍しく、ハリウッドスターたちが何人も登場するこの映画。
原作は、DCコミックス(アメコミ)のHellbraiser, Hellraiserじやないですよ。
とにかく、大スターやら、この後ブレイクした若手やら、今振り返るとずいぶんと贅沢なキャスティングでホラー映画としてはとても例外的。
お話は、天使と悪魔が、人間界で人間を巻き見ながら戦いを繰り広げる中、見えるコンスタンティンが、自分の思惑もからめて悪魔祓いをしている中、厄介ごとに巻き込まれていきます。
基本、Matrixで格好良かったキアヌ・リーヴスが、モダンホラーの中でよみがえった感じなのです。
なんとも性格の悪い天使ガブリエルを演ずるのは、私の大好きな中性的美形女優の、ティルダ・スウィントン
キアヌの助手を務める好青年は、このあと大ブレイクしたシャイア・ラブーフさん。
さらに大悪魔のひとりは、なんとBritish Rock Star Bushの元ボーカル(もとグエンさんの旦那さんとしても有名)ギャヴィン・ロスデイル
Silent Hillがアートフルなホラー映画なら、こちらはもっともCoolなホラー映画ということになります。
あと、ここに挙げたほかの映画とはたぶん予算の桁が違うので、FXはすべてゴージャスです。私のお気に入りは超強風が吹きまくる、地獄の映像。
この6作のなかで、唯一ハッピーエンドでもあります。
キアヌが大嫌いというのでもない限り、(キアヌって腐女子フレンドリーなスターだとおもうのですが。)外さないと思います。
とにかく、好きなシーンがおおいのとこれもDVDを買ってしまったので何度も見ました。
あ、これは確かそのころメンバーになっていたNetFlixでかりたのです。リリースはSilent Hillより一年前ですが、あの頃は映画館にほとんど行かなかった時期なので。(娘が小さかったので、幼児も楽しめる映画しか見に行かなかった頃の話です。)
そういえば、Hellraiserのこんどリメイクが作られるという話もあります。あと、厳密にはホラーではありませんが、伊藤計劃の’虐殺器官’がハリウッドで映画化されるという話です。
サスペリアのリメイクは一人できちんと見に行ってきますね。