米最高裁判事 Ruth Ginsburg 逝去、ハイ、これで11月3日の選挙まで、もはやOpen War

シェアする

今朝、日本の妹にメールを書いていたら突然Bobが話しかけてきました。なんか様子がおかし。

’Ruth Ginsburg passed away.’

享年87歳ですので、本来ならば大往生ということになるのですが、たぶんこの時点で、彼女の死ほど政治的な意味を持つのは、トランプか民主党大統領候補のBidenぐらいというくらい、大きなEventなのです。

ここで、アメリカの最高裁の簡単な仕組みを説明します。まず最高裁判事は全部で9人いて、これでまあ、どんな案件でも必ず結果が出るような仕組みになってます。

アメリカという国は、若いせいもあり、いろいろなもめ事を裁判沙汰にすることがとにかくほかの国よりずっと多い。

で、この国は基本的に2大政党である民主党と共和党が常に争っています。で、今のトランプはかなり三権分立を侵害している傾向がありますが、それでも例えば日本に比べると、行政権、立法権、司法権の独立ははっきりとあります。

ただ、そうですね共和党の保守化が始まったレーガン政権ぐらいから、自分たちよりの最高裁判事を選ぼうという動きがどんどん強くなってきました。

ただ、アメリカの最高裁のDynamicsの面白いところは、基本最高裁判事は、そうそう行政の思い通りには動かないということ。

ここ20年ぐらいは、大体民主党推薦が4人、共和党の候補者から判事になった人が5人というパターンが続いているのですが、基本この共和党がわの保守だったはずの判事さんが、

Swing Voteになることが頻繁におこります

実は、トランプが最後に最高裁判事を突っ込んだことで(とにかく非常に評判も悪いし、経歴もとても弱いひとでした。ほぼ確実に性犯罪の実行犯です。)、また完全に共和党から推薦された側が、5人の過半数になっていたのですが、それ以降、以前はもっともっと保守的だったはずの、今の最高裁筆頭判事であるJohn Robertsが、

Swing Vote化してます

この人のせいで、保守派の悲願であるRoe vs Wades(アメリカの妊娠中絶合法化の先駆けとなった、歴史的判決です。)のひっくり返しも、オバマケアの無効化もはねつけられましたから。

この人の場合、最高裁判事をしてる間にリベラル寄りになったというわけではなく、司法の独立を尊重して、尊法をつらぬく、という立ち位置なのです。その場合、基本一通りきっちり確立された過去の判例はよほどのことがない限り、覆しません。

と、ここまでは前提が4-5、あるいは5-4でした。

が、このRuth Ginsbergさんの逝去で、民主党推しがわに、空きができました。

もし、今までほとんど前例のなかった、6-3状態になったら、それこそ最高裁はバランス感覚のない、ただひたすらいまやリンカーン時代の面影ぜろの、超保守アジェンダをサポートするだけの機能になりはてるということです。

もちろん、それこそが共和党の保守、そして今だにトランプをサポートしている層の究極の目標の達成です。

アメリカで、人口だけ見たら、過半数を占めているのは基本民主党です。大体大統領選挙に負けたヒラリーですら、投票数だけでしたら、なんと200万以上トランプに買ってましたから。基本、人口の多い州ほど選挙人数の割が悪いので。

さて、いまだにトランプをサポートしている人たちは、たとえば温暖化問題をいまだに認めてませんし、もちろん環境汚染関係の法令をなし崩しにするひとたちです。

私がここで、一番最初に環境関係の事項を持ち出すのは、ひとこと、

もはやかなりどうしようもないレベルで、これ以上無理はできない

もちろん、私個人は、基本いわゆるリベラルです。ただ、例えば税制一つとっても、結局もしそれが気に入らなかったらあとで押し返せばいい。

でも、進む一方の温暖化や、環境破壊はとにかくやり直しがきかない。

ともあれ、民主党は何が何でも、トランプの推しがこの空きを埋めるのを阻止するために、もはやなりふり構わないと思います。

ことは、そこまでシリアスなので。

ちなみに、このニュースを聞いてすぐ私がGoogleしたのは以下のフレーズ。

how long to take nominate and approve supreme court justice

だいたい、新しい最高裁判事を指名して、承認されるまでにどのくらいかかるかという意味です。1975年以来の平均値は、

67日、2.2か月です

さすがに、同じよ宇な質問をした人が多かったらしく、例えばNew York Timesは、以前保守派の最高裁判事Antonin Scaliaが、急死したときの記事で、最近の指名および承認までの日にちの一覧を上げてます。

  • Elena Kagan: 87 days (May 10, 2010, to Aug. 5, 2010)
  • Sonia Sotomayor: 66 days (June 1, 2009, to Aug. 6, 2009)
  • Samuel A. Alito Jr.: 82 days (Nov. 10, 2005, to Jan. 31, 2006)
  • John G. Roberts Jr.: 62 days (July 29, 2005, to Sept. 29, 2005)
  • Stephen Breyer: 73 days (May 17, 1994, to July 29, 1994)
  • Ruth Bader Ginsburg: 50 days (June 14, 1993, to August 3, 1993)
  • Clarence Thomas: 99 days (July 8, 1991, to Oct. 15, 1991)
  • David H. Souter: 69 days (July 25, 1990, to Oct. 2, 1990)
  • Anthony M. Kennedy: 65 days (Nov. 30, 1987, to Feb 3, 1988)
  • Antonin Scalia: 85 days (June 24, 1986, to Sept. 17, 1986)

皮肉なことに、このRuth Ginsbergさんが指名されたときが、最近では最速なんですよね。

もちろん、すでにトランプも、上院議長の亀にそっくりなMitch McConnellも、選挙前に承認させるとわめいてます。

ちなみに、選挙日まで45日、1っか月半です。

この選挙は、もちろん大統領以外にも再選がかかっている議員さんたくさんいますので、ロジスティクスだけ見れば、無理なのですが。

そこは無理を通すのが常態化しているトランプ政権なので、正直どうなることやら。

まあ、万が一にも6-3になったら、民主党が政権をとりもどしたあとで、限りなく黒い去年就任した最高裁判事、Brett Kavanaughを弾劾する方向に動くかもしれませんね。

あと、もう一つの奥の手は、判事の総数を9から11にふやすことです。これは実は法律的には、議会を通せばかなり簡単にできます。

ともかく、早くトランプにいなくなってほしい。