落合陽一って、それなりに面白い可能性を持った人だと思うのです。この本はすごく大雑把ではあるけれど、ビジョンを語っているという意味では、ありだと思うし。

一生懸命とんがって、いかにもそれっぽいファッションを決めるのもありだと思います。

あと、この人の考える、テクノロジーと人間とリアルの融合とかは、25年前にはじめて、攻殻機動隊のアニメ第一作を見て以来、考えてきたことなのですんなりとはいってきます。

大体私、

草薙素子がロールモデルですし。

 

あと、たぶんCyberpunkに実は一番影響を与え、かの伊藤計劃もはまっていた、ジョン・ヴァーリイの作品とか、同じCyberpunkではなく、ブルース.スターリングの作品とかでも、振り返って見れば、テクノロジーと人体が融合した未来の話にすでにどっぷりつかっていたのです。しかもジョン・ヴァーリイの作品て、私がアメリカにやってくる直前に日本でずいぶんと訳されたのよね。

 

どうやら、SF傑作選の一環として再版されたらしく、こちらで簡単に読めます。あ、スターリングは基本Gibsonが絡まないやつはあまり手に入らない。

 

 

ところで、この人もう一つ男性作家としてそれも80年代前半に人気作家だった人としては、かなり特異な特徴があります。

 

ジェンダーの柔軟性が完全に消化されている

 

この人の、出世作ともいえるスぺオペと、Cyberpunkの先駆けを融合させたような世界観が非常に特異な’八世界’シリーズでは、とにかく人間の体がすでにナノテクノロジーでアップグレードされているだけでなく、

 

とにかく、全く大したことではないという感じで、主人公の性転換がおこなわれることが結構あるのです。

 

さて、振り返って落合氏の未来ビジョンですが、彼の一番知識も実体験も薄い部分でものすごい、未熟さと無知が露呈している。

 

まあ、たぶんまだ頭でっかちなのでしょうね。

 

なんだかんだいっ手も、まだ33歳ですから。でも特に理科系に多い、日本人男性の性的未熟さには本当にうんざりする。オジサンだけじゃないのよね。ちょっと’できる’と自負もし、周りのオジサンにも認められている若手にこの手が多いのが本当に私泣けてきます。

 

大体この人、コンセプトとしてのDiversityに関しては、非常に正しく理解してます。ところがごく身近の、Diversityの達成というてんからすると、まず最も基本的なことである、男女差別をなくすということが、基本的になんであるか理解していない。

まあ、日本はフランスのマネをする必要はないというわけのわからないタイトルの章にでてくるのです。

 

フランスは、アメリカやほかのヨーロッパに比べて、むしろ身体的性差を楽しむお国柄ですから、どうしてフランスなのかまずわからない。

ただ、フランスは少子化をリバースするため、徹底的な妊娠と子育て保護の法律を作った国です。そのかわり、たとえば北欧や、アメリカのようなクオータ制は確か取り入れていない。

 

ちょっと引用します。これはさすがに口をあんぐりしましたので、

 

日本社会では子育ては女性が中心で、男性はあまり手伝いませんが、そこは半分ぐらいしょうがない面もあると思います。子供と母親の身体的つながりを考えると、子育ては母乳が出る母が主に担当したほうが、合理的な面もあるからです。母乳だけは男性が女性に代替するのは不可能です。

 

だって、この著者はほかの章でいかに、ロボットが今まで人間がやるべきだときめつけていたことを、どんどん置き換えるべきかという話をしているのです。

 

いや、ロボットまでいかなくとも、ではGayのカップルが子育てするのはまちがっているのですか?

 

すでに、発達心理学などで研究が進んでいますが、乳児が育つのに必要なのは、基本

 

乳児を満たす触感なのです。

 

確かに出産直後の大多数の母親には、特殊なホルモンが分泌され、それによって母親も赤ん坊も触れ合うことで幸福感、安心感、満足感を感じられるのは事実です。

 

ただ、この手のホルモンは、すでに育児に積極的に参加する男性にも分泌されることもわかってます。

 

あと、赤ん坊が最初の自我を認識するにつれ、親の役割の一番大事なことは、

 

親にとって子供がかけがえのない存在であることと伝える

 

ここには、親の生物学的性もいやジェンダーさえも問題ではない。

 

いわゆる孤児院育ちの子供にある種の欠落が生まれがちな最大の理由は、生物学上の親の不在ではなく、同じ種の成熟した存在に’特別感’を与えてもらうことです。

 

私は、実は特殊な育ち方をしており、両親もちゃんといましたが、この欠落を長い間持て余してました。ですから、時折感のいい女性に、’もしかして孤児だったんですか’と聞かれたことをよく記憶してます。

 

さらに、もういい加減

 

母乳信仰はやめて

 

あと、

 

いい加減に、無痛分娩に対する偏見をなくしましょう

 

 

はっきり言って、

 

子育ては、最初の10年間、とにかく重労働です。

 

そうそう、介護でロボットにおむつを替えてもらうのは良くて、赤ん坊のおむつはお母さんが替えないといけないとかいいそうですね。

 

これから、特に人生100年時代が当たり前になるにつれ、どう考えても、

 

高年齢出産は当たり前です。

 

そんな時に、出産は女だけの責任て、一体何考えているのだろう。あ、当然高年齢出産では、母乳だけで育てるのはきついです。でも、すでに今の人工乳はHigh Qualityなので、もはや何の問題もない。

 

一番大事なのは、両親、特に母親にストレスのかかりすぎない環境を整備するために制度化することでしょう。

 

あと、当然のことながら、Reproductive Technologyの発展も同じように受け入れるべきでしょう。

 

まあ、日本人だけじゃないです。むしろ若い世代のほうに、変に’自然な’出産にこだわる人がいる。

 

有名なところでは、かの’Life shift’という人生100年時代の未来ビジョンを最初に語ったほんのなかで、何故か

 

出産だけは、生物的リミットに殉ぜよといっている。

 

でも、なんでこと男女差別に関する限り、日本てここまでひどい国になったのだろう。やはり明治の叙勲の2班の立役者たちが、こと男女関係に関する限りあまりにもひどい男たちだったこととか、関係しているのだろうか。

 

そうそう、日本の今のどうしようもないひどさを象徴する記事が、たまたま今朝目にないっても来ました。

 

痴漢に遭った女性の84%が通報を諦めるのは、一体だれのせいなのか

 

つまり、日常的な強制わいせつ行為が野放しになっているのが日本ということ。そして、女性が性犯罪の被害者となった場合、いまだに男性警察官が当たり前のように対応するのも、先進国ではにほんだけですね。

 

さらに、こんな記事もありました、

 

産後36歳でがんになった彼女が見つけた「役割」、当事者が情報発信していくことの意義

 

こちらは、日本の行政がいかに出産直後の母子にたいしてさえ、もう死ぬほど冷たいかというお話です。でもこのお母さんは、そこでめげずに自分と同じような目にあった人をどうにかしようとたちあがるので、すごい。でも行政に腹たつ。

 

さて、最後に、日本人男性にも捨てたものではない方がいらっしゃるという、ちょっと嬉しい発見をした本を紹介しましょう。

このタイトルがすごい。

 

 

これだけまっとうなことをいう日本人男性にあったのは、正直いつ以来でしょうか。別に特にリベラルというわけではなく、普通に長い間人とかかわってきて、かついまだに若い人とも仕事をしているのです。

 

で、この本の最終章がすごいのです。

 

第5章 持続可能性の高い社会を残すために
・男女差別が日本を衰退させている
・男性が子育てをすると家族愛が高まる科学的理由
・赤ちゃんを産んでも女性が経済的に困らない仕組み
・社会保障と税の一体改革は必要不可欠
・よいリーダーとよい政府は市民がつくる

 

この方は、過渡期の仕組みとして、いわゆるクオータ制を取り入れることを推進してもいます。正直これはかなり珍しい。で、その話は冒頭にもでてきますが、とにかく胸のすく内容です。

 

33歳の落合さんは、この本読んだほうがいいですよ。

 

 

 

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