まずは英語版のWiki,Anthony Bourdain
日本語版のWikiはずっと短くてこちらアンソニー・ボーディン
いまいち日本での知名度が分かりませんが、アメリカではたぶん一番愛されているフードクリティック、ライターです。
彼は、単なるグルメタイプのフードクリティックでは全然なく、そもそも彼が有名になったのは’Kitchen Confidential’というNew Yorkのレストラン業界の裏側を赤裸々に描き出したノンフィクションがきっかけでした。
それまで彼は、New Yorkのフレンチレストランのコックさんで、本は基本その頃の経験をもとに書かれてました。
この本が呼び水になったのか、彼は’COOK’s Tour’というTravel ChannelというCable 局の番組で食べ物からめながら世界各地を訪れる番組でデビュー。
私が彼のファンになったのもこれがきっかけ、この番組の続編のような’No Reservation’は2005年から2012年までの7シーズン続く人気番組になりました。
この間彼が訪れたのは80か国にわたるそうです。
この人の何がここまでみりょくなのか。
彼の場合、書いてもしゃべっても、特別際立ったVoiceを持ってます。文体といってもいいけど、書かれた言葉だけではないので、Voiceという言い方のほうがぴったり来ます。
TVデビューはまだ40代前半でしたから、今よりずいぶん若かったけど、基本長身,痩身そして渋めのイケメンですね。
あと、この人ぐらいCoolという形容詞が似合う人はいませんね。
さらに、なんでもはっきりいうし、およそTVのPersonalityと実際のキャラに全く違いがないということでも有名。
実は、TV番組でさえ、割と平然といわゆるF-Wordを使ったりもする。
かなり皮肉をいいますが、それがあまり嫌味にも意地悪にも聞こえないというかなりレアなカリスマ性をもってます。
さて、番組のほうもこの人らしく、有名なレストランより世界のあらゆる地方のその地方ならではのおいしそうなものを探しながら、むしろ人々そして文化を紹介して行く。
たぶんこの人の一番有名なエピソードは、No Reservationの後、CNNに移ってからの番組の中のObamaがまだ大統領だったころベトナムを訪れたエピソード。
VIPの宴席ではなく、町角のベトナム麺をビールを飲みながら食べてるという、これ以上カジュアルな設定はないでしょうという状況。
実は彼の番組は、政治的にかなり緊張状態にある地域に訪れてしまうことでも有名です。
どういうつてなのかわからないのですが、ロシアで反プーチンの活動家と食事したり、イランで撮影したり。後日、この食事の相手が逮捕されてというすごいことになって、それがニュースに逆になりました。
これはまだNo Reservationsのころでしたが、イスラエルで撮影している最中になんとレバノンとの戦闘ががはじまったことがありました。
できたらDVD借りて、この人のショウを見てください。
こういう人をヒューマニストというのでしょうか。
ちなみに、この人は本でデビューする少し前まで、かなり長期にわたって麻薬中毒で苦しんできてます。別の言い方をすると、人生のちょうど真ん中の3分の一に渡る期間地獄みてきてます。
一度スペシャルで、アメリカの麻薬問題に絡めて彼のこの頃の話のスペシャルが放映されました。やはり、こういう経験で、人間に対する感覚を深くしたのではと思います。もちろんそこから這い上がれずにそのまま死んだり廃人になってしまった人の方が多いでしょうが。
いま突然自殺ということは、その過去からの悪魔にふと、足を取られたと言うのでしょうか。
この人笑顔が良いんだよね。ああ、悲しいです。
ご冥福を祈ります。