マルチは夢を食い物にする極北商法、アメリカのマルチ事情、そして今でも最悪なAmway(アムウエイ)の深い闇

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おととい、Diamond Onlineで、こんな記事に出会いました。

「マルチ商法」に引っかかる人の意外な心理、被害者が後を絶たない理由

不景気で失業者が増えるとき、この手のマルチ商法が蔓延るのかなと私は思ってしまいます。そういえばYoutubeをチエックしていると、時折日本で、そしてAmericaで一番有名なマルチ、Amwayを批判したビデオを時々見かけます。

Amwayの場合、日本進出は1977年(営業開始は1979年)ですが、

が、AmwayがBoomになったのは1990年代。

もちろんブームになると同時に、マルチの根本的問題も大きく広がりこの会社の悪名も高くなったようです。

私が初めてマルチ商法の闇に触れたのは、高校時代中の良かった友人を通じてでした。そもそも彼女の父親は確かヤマハの元重役で、何らかの社内権力争いの結果追い出されるようにやめたということでした。で、その後ハマったのがマルチ商法でした。

高校時代中の良かった彼女が何故かわざわざ家まで遊びに来てくれると言うので、喜んでいたところ結果的に延々と彼女のおうちが新しく始めたビジネス絡みの、商品の売り込みだったので物凄くショックを受けました。売り方や商品説明がマルチ独特の(会員割引を強調する。)ものだったことに、少しあとになってからはっきりと気づいた次第です。

アメリカでは、ガチなネズミ講商法は禁止されています。ただ、ネズミ講ほど露骨ではありませんが、今だに一応合法のMLM(Multi-level-marketing)と呼ばれて深く根を張っています。

アメリカではネズミ講は、Pyramid schemeと呼ばれ、違法です。

合法なのは、Network Business, もしくはMLM(Multi-level-marketing)

2つの違いは次のように英文で説明されています。

The difference between a pyramid scheme and a lawful MLM program is that there is no real product that is sold in a pyramid scheme. Participants attempt to make money solely by recruiting new participants into the program.

ネズミ講、(英語でPyramid Scheme)の場合、売買対象となる商品がなく、参加者は新しい参加者を募ることによってのみ利益を得ることができる。

合法の場合、基本参加者は商品を売る事によるコミッションと、自分がリクルートした新会員からの上がりの両方を受け取る形になります。

私は、Amwayの参加者には直接出会ったことはありません。

私が出会ったのは。Amwayほど露骨ではない、厳密にはMLMではない、よりソフトなアプローチのDirect Salesというやり方で大きくなった、

Melaleuca

のメンバーのシニアでした。

もうリタイアして、年金だけでは足りないのでこのビジネスに足を踏み入れたようです。メラルーカは、もともTea Tree Oilのことで、このオイルにはまあいろいろの薬効があり、製品のラインアップの中心は環境に優しい洗剤や、掃除用のクリーナーから始まってます。

Amwayと一番大きい違いは、Memberになって商品を売るために、

商品を仕入れる必要はない。

メンバーがすることは、新会員にメンバーシップを進めることです。

Melaleucaのうまいところは、これらの商品は別にメンバーにならなくても買えること。ただしメンバーになると、メンバー割引がきくのです。

で、値段の付け方も微妙にうまく、定価は明らかに同じような製品に比べて高すぎる。でもメンバー割引価格は、まあ普通に買える製品と同じぐらいです。

ここまでだけならいいのですが、メンバーシップをキープするには条件があります。

一定金額毎月買わなくてはならない。

この金額は、決してAmwayのような馬鹿げた金額ではありません。私が付き合いでメンバーだった頃は、日本円で5000円いきませんでした

まあ、金額だけしたら、最初あまり苦になりませんでした。洗剤やらクリーナーは必要だから。でも洗剤とかクリーナーって早々減らないのです。だから、サプリやら、石鹸やらシャンプーやらと、本来なら自分のお気に入りのブランドで買いたいものをMelaleucaで買う羽目になりました。

そして、年会費もやはり5000円弱。ですから金銭的なつっこみというとこの年会費分ぐらいです。

この女性に出会ったのは、今のキャリアを初めて2年半ぐらいだったと思います。まだFPや投資のことは身についていても、こと新規客の開拓ということになると全く何も分かっていなかった頃です。

この女性が、このMelaleucaのコト以外では感じの良い方だった事もあって、結局3年ぐらい付き合ったと思います。なんと未だにかって使わなかったものが残ってます。子供用のシャンプーや洗剤とかが。

Melaleucaの場合、せっせと働くと高卒のオフィスワーカーぐらいの稼ぎを出せる人が大部分だそうです。それに対してAmwayの場合は、過半数以上の人が赤字ということですから、まあよりマイルドな搾取ということなのでしょうね。

アメリカの場合、流石に色々と変化はあります。Melaleucaもそうでしたが、この手の商品の注文や販売はすべてInternet経由があたりまえになりました。

Amwayですら、こちらではNetベースの販売に切り替えています。いろいろな報酬も、形としては本社からの直接支払いです。

英語でMLMの検索をかけた場合は、代表格として上がって来る会社のなかで私が名前だけはよく知っているのは、

Mary Kay

Amwayに比べると、それほど大きな訴訟沙汰になっていません。報酬モデルはそれほど変わらないのですがね。

Mary Kayは、ある程度のレベルに達すると、Pinkのキャデラックをブレゼントされるという話でかなり有名になりました。

この会社は基本化粧品会社なので、まあ報酬系を除けば、例えば日本のポーラ化粧品とそうそうかわらない売り方です。考えてみると、化粧品ぐらい値段があってないようなものないですよね。

たまーに、オフィスビルの女性トイレに製品カタログが置かれてます。後、かつてよく異種交流会に参加していた頃、こちらや、他のDirect Sales系の化粧品会社の人にぶつかりました。

後、一度だけ飛行機の中でMary Kayのコンベンションに行くメンバーに出会ったことがあります。ぶっちゃけケバい中年女性でした。一番印象的だったのは、’私は化粧品のセールスウーマンではない、’グラマー’の伝道師なの’と強調していたこと。

英語で’グラマー’というのは、日本語の表現ですと’セレブで華やか’という感じです。流石に私もちょっとまってくれと内心おののきました。

***

さて、Amwayの深い闇と表現しました。日本で行われているAmwayの勧誘法は、アメリカでもかなり前から、’カルト手法’として目をつけられてきました。

アメリカ国内で、悪名がどんどん高くなるにつれ、こういう会社はアメリカの場合、やっと小金を貯めた比較的最近の移民、(特にアジア系)や、情報弱者であるシニア層にターゲットを移しています。

さらに、海外市場の開拓にも抜け目がない。(インドでは禁止され、中国では一度禁止された後、何らかの協定ができてまたやってます。)が、ここに来て

Amwayのような会社の強い味方が現れました。Trumpです。

そもそも、Amwayのことを調べていたとき、創業者に一人であるDeVosという名前に行き当たったのです。え、これってまさか?

実は、とにかくあらゆる意味で最悪なトランプ政権のなかでも、最凶の閣僚の一人であるSecuretary of State(日本の文部大臣に当たります)が、Betsy DeVosという名前です。

なんとこの人本当に、

Amway 創業者の息子Dick DeVosの奥さんです。

Amwayは、共和党の中のいわゆるトランプのベースに当たる部分にかなり前からせっせと政治献金をしています。

それだけではありません。このトランプベースと重なるのが、アメリカのバイブル・ベルトをささえる、超保守系の新興キリスト教会たちなのです。で、Amwayはこの手の団体にもどんどん献金しています。これって本当に怖いですよね。

Trumpは、基本消費者を守るためのすべての規制や法律の解体を進めていますが、その一つがたとえば、こういうマルチ商法を規制する法律の骨抜きです。

いやどこまでひどいのだか。

日本の場合は、どこからサポートされているのでしょう。