今朝、東洋経済オンラインでこんな記事を読みました。
東京の「生活保護」はまったく機能していない
東洋経済オンラインて、他のビジネス系のポータルに比べいわゆるビジネス以外の記事が多いのです。まあ社会派記事という類のもの。
内容にレベルにばらつきはあるものの、やはり日本の格差や貧困問題について結構よく取り上げている姿勢は個人的感謝してます。
後、実は記事と同じぐらい熱心に読むのが、読んだ記事につくコメント。記事そのものとは違う情報を与えてくれるという意味で、結構大事なのです。(ダイヤモンド・オンラインは、コメントなし、日経ビジネスオンラインは、やたら有料記事が多いのであまり読めない。)
さて、この記事もコメントをかなり熱心に読みました。そもそもコメントが凄く多いです。そして記事そのものは、確かに数字を全く出していないのは欠陥がと思いますが、それを除けば至極まっとうなことを言ってます。
例えば家賃の問題。
私はヨーロッパのことは知りませんが、ヨーロッパに比べると、ずーと自己責任原則が強いアメリカでも、次のようなシステムがあり、日本の生活保護の不当請求の問題をかなり解決し、かつ社会のSafty Netを作るという理念はサポートされてます。
一つは、Food Stamp. これは食料品と交換することだけが可能な商品券のようなもので、貧困家庭のサポートとして支給されます。大事なことは例えばアルコールとかタバコ、ひいてはドラッグなどとは絶対交換できないこと。
まあそれでもFood Stampの闇マーケットが存在するのがアメリカという国の闇ですが。
もう一つは低所得者層用の、家賃が低く抑えられたアパート。
これは、そういうアパートを地方政府が別にわざわざ作ることもあれば、すでに存在するアパートの一部を地方政府が貸して、設定した所得以下の層に相場よりずっと安く貸し出すというものです。
ただ、アメリカの場合、こういうアパートが結果的にスラム化してしまったという悲しい現実もあります。が、ただそうなってしまった最大の理由が、貧困層と非白人層のほぼ完全な重なり合いという背景ですが。
ですから、この家賃を低く抑えるという政策は、日本の特に都市部で取り入れられてはどうかと思います。その点この記事は正しい。
さて、記事で一番問題なのは、貧困問題のなかで女子大生を中心とする高学歴女性の売春問題に注目していることです。
これは難しいのかもしれないけど、本当に数値がほしい。それがないとあまりにも議論が難しいし、コメントでも言われているように、若い女性に焦点合わせすぎと言われても言い返せないでしょう。
ただ、貧困問題が女性問題と重なるのはすでに統計的に出ています。それは貧困層で一番大きいのが、
シングルマザーの貧困化
だからです。正直私にとっては、若い女性の売春より、こちらのほうがよほど緊急の対策が必要な貧困問題だと思います。
つぎに、こと自己責任論に関しては一言、
機会均等を保証しない限り、自己責任論は無効だということです。
私はいまさら、すべての人が平等に生まれついているなどと入っていません。ただ、市場資本主義が戦後続いた結果として、今どう仕様もない資産格差が加速し、その結果世界の貧困層をすでにすべて救って余りあるほどの世界資産がありながら、その資産がごく一部の富裕層に堆積しているという現実があるのです。
以前書きましたが、今の東大あるいは有名大は、相対的に言ってほぼブランド化しています。
つまり、富裕層が自分の子弟に箔をつけるために送る先であり、ブランドであるからこそ、子供の頃からの教育費の投資により、そういう大学への進学が可能になっているということです。
これは、東大生の家庭収入が、日本で一番高いことから明らかです。
さらに、教育費の投資によっても有名大学に進学できない富裕層の指定には、それこそ直接入学権を買うという、まあ非合法のオプションがあります。
日本でも、たとえば医大を中心によくある話ですし、ごく最近のアメリカでの有名大学裏口入学スキャンダルを見ても明らかでしょう。
ともかく、こういう大学のブランド化によってなにがおこるかというと、
エリートの劣化と、現実乖離です。
その一方で、コメントを見ていて思うのは、トランプサポーターと同じ発想の人が結構いるという悲しい状況です。
つまり、トランプサポーターの場合、端っから富裕層を批判することを諦め、代わりに自分たちと違った他の貧困層を攻撃するのです。いわく、非白人層の攻撃。ですから、トランプが大統領になって以来、Hate Crimeが激増している。
コメントの方も、
在日韓国人や他の在日外国人
男性なら女性
健康なら、メンタルヘルス問題のある方たち
などへの攻撃が結構出てきています。
たとえ古臭くはあっても、数多くの労組がほぼ全て解体されたことが、いまの非正規雇用の爆発と搾取に繋がっていることは否めないでしょう。
最後に、大学の問題ですが、私は、
大学への無料全入をサポートします。
ただし、ここ勘違いしないで下さい。全入であっても、全員が学位を取れるなんて一言も言っていません。
少なくとも、アメリカの大学のほうがそれなりにマシなのは、そこそこの大学でもそれなりに勉強しないと
アメリカでは、卒業できません。
日本の、Fランク大学がどうしようもないのは、いやたとえAランクでも、学部によってはどうしようもないのは、
勉強せずに、日本では卒業出来る。
ヨーロッパの場合、試験に受かれば入学でき学費はただとか、非常に低額という制度がほとんど、ただし入学後勉強しないと卒業できません。
コメントでの、大学にはいけるやつだけいけばいいという議論は、すべて入学する機会均等と、卒業するという自己責任を一緒くたにしてます。
さらに、日本ですと、大学進学は高校を卒業後すぐということを前提にしすぎ。
今は生涯学習が生き残り戦略として必要な時代ですから、こういう硬直化したシステムは害になると思います。
妹も私も若い社員さんの教育とTrainingということに力を入れています。それに、正直若い人たちは流石に、まだ頭が柔らかくて、ことIT系のSkillを身に着けてもらうということになると、とても吸収力や柔軟性があるのです。
まあ、妹の会社は中小企業ですから、端っから大卒なんて期待してません。新入社員さんたちはすべて高卒です。
というわけで、ごく個人のレベルでは妹の会社で毎年雇用を続けている、若い人たちへの教育サポート。後は、福利厚生の充実と業界平均より上のサラリー。(我が社で二年目の19歳の女の子が、ボーナスでデズニーランドの年間フリーパスが買えたと喜んでおりました。)
福利厚生の一巻として、会社が費用を出して、まあ女子会をやったり、一緒に映画や最新のエンタメ施設を訪れたりしてます。後、妹はデズニーランドが大好きなので、数年に一回はあそこで日帰りイベントとかやってます。
まあ、女性がトップの中小企業ですと、キャバクラやゴルフに経費が行きませんから、その分色々なことができます。
最後、ちょっと話がずれましたが、アメリカではトランプのせいで行くとこまで行っていま、やっと振り子の振り戻しが始まっているので、逆に未来に希望が持てるようになったのですが、
日本は、特に若い層の無力感と孤立状態が半端でなく正直すごく心配です。