リーマンショックが、2007年。あれからずいぶん経ちましたが、実感として中産階級の状況が改善したという印象は、相変わらず感じられないのです。

いろんな交差点で見かけるホームレスの数は微増が続き、しかも若い白人が増えている。まあこれはOpioid中毒も大きく関わってますが。

 

どこを押しても、金持ちばかりが肥え太る印象の強い昨今のアメリカですが、いわゆる失業率は下がる一方。

 

で、今朝先月の失業率が発表されたのですが、なんと

失業率は1969年以来初めて4%割りの、3.6%

 

失業率は、ここ何年も下がりっぱなしです。でも相変わらずインフレーションの兆候なし。もちろん、こんなに失業率が低いのに、

 

Wage(サラリーですね。)は相変わらずあまり上がっていない

 

これって、マクロ経済学の経済の循環という定説が全く成立していないということです。

 

で、気になって色々記事をあさりました。最初が、

 

Unemployment Rate Hits 50-Year Low, Yet Wage Growth Stays Tepid

英語の得意な方は読んでみてね。
で、ともかくこの記事の解説は、失業率は、仕事を探している人口に対して図るので、仕事を探すのをやめてしまった人口は含んでいない。
これが中心です。
実に、2019年3月のParticipation Rate,(つまり仕事を探している人口の割合)はなんとたったの63%、で、この4月これが更に62.8%に落ちている。もちろんこの数字は歴史的に見て異常な低さです。
で、この現象の最大の原因は、Babyboomer(アメリカの、日本で言うところの団塊の世代)が引き続き大量に退職しているからだとか。
ただ、ここまでだと、半分しか納得できない。というのは、失業率が低いだけでなく、アメリカは103ヶ月(9年弱)に渡って、求人を増加させてきているのですから。
ですから、いくらなんでもお給料がもっと上がってもいいと思うのです。で、この記事の説明はそこ全然説明できていない。
次に見つけたのがこの記事、

Why is wage growth so slow? It’s not because low-wage jobs are being added disproportionately

 

この記事は、私の残った疑問に答える形で構成されています。で、私のまず最初の疑問、どうせお給料の良くない仕事ばかり増えているんだろうと予想してみたのですが、
が、それはじつは違うのだそうです。
確かに、2008年の後数年は、そのとおりだったそうです。
でも、2013年ぐらいから、中間以上のポジションがどんどんたされているのだそうです。
で、この解説のもとになったグラフを見ると、
2013年までは、時給換算で、$10までの職が一番俗化している。
これが2013年以降になると、確かに$10以下の職は逆に減ってます。
で、そのかわりに、$12から$17の職が増えてます。これは年俸として換算すると、$24,960から、$35,360。日本円ですとだいたい年収280万から、390万ぐらいの感じです。
ただし、$18から$55までは、あまり増えていないのですが、一方$56になると、実はものすごく増えています。これは年収$1200万ぐらいの感じなので、確かに2013年以降は、多少お底上げがあったけど、昔々沢山の“中流’を育成したレベルの職はもう増えていないというのがこのグラフを見た実感。これ、いわゆる中間管理職層のお給料だったのですよね。
で、この年収1200万以上の職は、これからもずーっと売りて市場が続くのでしょうし。
それに対して、そこ上げはしているものの、昔の中間管理職層より低いお給料の職が、全体のお給料の伸びの鈍化の原因だそうで、何故伸びないかというと、

交渉力を失ったから

 

だそうです。まあ、それは嘘ではないでしょう。うーんでも、まだ釈然としない。

 

で、また漁った結果見つけた記事がこれ、

 

Unemployment is low only because ‘involuntary’ part-time work is high

この記事はわかりやすいように、冒頭にまとめがついているので、それをここにコピーして訳しますね。

  • Unemployment is at record lows in both the UK and the US. 

失業率は、イギリスでもアメリカでも記録的な低さである。

  • But “involuntary” part-time work is at least 40% higher in both countries than it was 10 years ago.

が、不本意ながらのパートワークは、どちらの国でも、10年前に比べて少なくとも40%も高い。(わー、これは怖い数字です。)

  • The structure of the labour market has fundamentally changed, and what we used to think of as “unemployment” has been replaced by mass part-time work, much of it unwanted.

労働市場の構成は根本から変わってしまった。これまでは’失業’とみなされといた状況は、多量の、そして不本意ながらのパートに置き換わった。

  • “Gig economy” jobs are to blame, according to Rob Valletta of the San Francisco Fed.

サンフランシスコのFedral Reserve Boardの Rob Vallettaによると、これはいわゆる’Gig Economy’が生み出す職のもたらすものである。

 

やっぱ、そうだよね。私がうすうす感じていたことを、サンフランシスコのFed がいってくれたので納得。

 

あ、Gig Economy,というのは、日本でも少し前からなんだか流行りのようにいわれるところの’フリーランス’ワークです。

 

正式なPart Timeと違い、一回ごとに雇い主が違うよなお仕事。Uberだって、Gigですよ。だって、会社に雇われているのではなく、一回一回、お客さんに雇われているということになっているのですから。そしてもちろん、職=Gigをふる会社ばかりが、バカ儲け。

 

ほらだって、正社員と違ってなんの面倒も見なくていいから。

 

参考までに、Gig Economyの英語での解説を、付け加えておきますね。

a labor market characterized by the prevalence of short-term contracts or freelance work as opposed to permanent jobs.
“working in the gig economy means constantly being subjected to last-minute scheduling”

 

とにかく、この超低い失業率は、ごく一部の富裕層を除いてこれっぽっちも良いサインではないことを納得いただけましたでしょうか。

 

ちなみに、日本は先進国の中で一番失業率が低いのですが、その理由は実に単純かつうんざりするもの。先進国でありながら、女性の就業率が格段に低い、これです。

 

 

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA