リーマンショックが、2007年。あれからずいぶん経ちましたが、実感として中産階級の状況が改善したという印象は、相変わらず感じられないのです。
いろんな交差点で見かけるホームレスの数は微増が続き、しかも若い白人が増えている。まあこれはOpioid中毒も大きく関わってますが。
どこを押しても、金持ちばかりが肥え太る印象の強い昨今のアメリカですが、いわゆる失業率は下がる一方。
で、今朝先月の失業率が発表されたのですが、なんと
失業率は1969年以来初めて4%割りの、3.6%
失業率は、ここ何年も下がりっぱなしです。でも相変わらずインフレーションの兆候なし。もちろん、こんなに失業率が低いのに、
Wage(サラリーですね。)は相変わらずあまり上がっていない
これって、マクロ経済学の経済の循環という定説が全く成立していないということです。
で、気になって色々記事をあさりました。最初が、
Why is wage growth so slow? It’s not because low-wage jobs are being added disproportionately
交渉力を失ったから
だそうです。まあ、それは嘘ではないでしょう。うーんでも、まだ釈然としない。
で、また漁った結果見つけた記事がこれ、
Unemployment is low only because ‘involuntary’ part-time work is high
この記事はわかりやすいように、冒頭にまとめがついているので、それをここにコピーして訳しますね。
- Unemployment is at record lows in both the UK and the US.
失業率は、イギリスでもアメリカでも記録的な低さである。
- But “involuntary” part-time work is at least 40% higher in both countries than it was 10 years ago.
が、不本意ながらのパートワークは、どちらの国でも、10年前に比べて少なくとも40%も高い。(わー、これは怖い数字です。)
- The structure of the labour market has fundamentally changed, and what we used to think of as “unemployment” has been replaced by mass part-time work, much of it unwanted.
労働市場の構成は根本から変わってしまった。これまでは’失業’とみなされといた状況は、多量の、そして不本意ながらのパートに置き換わった。
- “Gig economy” jobs are to blame, according to Rob Valletta of the San Francisco Fed.
サンフランシスコのFedral Reserve Boardの Rob Vallettaによると、これはいわゆる’Gig Economy’が生み出す職のもたらすものである。
やっぱ、そうだよね。私がうすうす感じていたことを、サンフランシスコのFed がいってくれたので納得。
あ、Gig Economy,というのは、日本でも少し前からなんだか流行りのようにいわれるところの’フリーランス’ワークです。
正式なPart Timeと違い、一回ごとに雇い主が違うよなお仕事。Uberだって、Gigですよ。だって、会社に雇われているのではなく、一回一回、お客さんに雇われているということになっているのですから。そしてもちろん、職=Gigをふる会社ばかりが、バカ儲け。
ほらだって、正社員と違ってなんの面倒も見なくていいから。
参考までに、Gig Economyの英語での解説を、付け加えておきますね。
とにかく、この超低い失業率は、ごく一部の富裕層を除いてこれっぽっちも良いサインではないことを納得いただけましたでしょうか。
ちなみに、日本は先進国の中で一番失業率が低いのですが、その理由は実に単純かつうんざりするもの。先進国でありながら、女性の就業率が格段に低い、これです。