今回は、日経ビジネスオンラインの記事についてちょっと。

世界最低レベルの外国人受け入れ寛容度、ニッポンの末路

 

この記事を読んでいて何かとても引っかかったのですよね。この記事の元ネタの調査結果はこちら。

英語ですが、図表で示されているのでそれほどわかりにくくはない。

Expat explorer survey

 

英金融大手HSBCホールディングスによる、出身国以外で働く人々1万8千人を対象にしたアンケートにもとづいた「外国人が住みたい、働きたい国ランキング」みたいな感じです。

 

日本は総合ランキングで33カ国中32位

 

例の、Global Gender Gap Report、世界男女平等ランキングで149カ国中、2018年は110位(2017年は114位だったから、上がったと言うより50歩100歩ですね。)もちろん、G7中最低です。ただここでものすごくおもしろい?のは、ある項目では日本はなんと1位。読み書き能力、初等教育、中等教育(中学校・高校)、出生率の分野では、男女間に不平等は見られないというという理由でここだけは一位。

 

ということは、日本って改めて

世界一能力ある女性を本当に無駄にしている

ということです。で、女性を無駄にしているということは、結構若い世代を大事にしないこととかなり重なってくる。

 

日経オンラインの記事の内容を批判する前に、まず私なりのこの元ネタを見ての簡単な分析と感想を書き出してみましょう。

 

正直にいって、記事には元ネタの大事な分析結果がきちんと記述されてません。

 

元ネタに飛んでいただければすぐわかりますが、この調査の結果は世界地図上にサイズの違う円によって示されています。さらにここが一番肝なのですが、それらの円は、色によって

3つのグループに分けられている。

 

トップグループは若緑 で、このグループに属する国は、

カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、スイス、シンガポール、スペイン、トルコ

 

ミドルグループは青緑 で、

ドイツ、ポーランド、フランス、アイルランド、(マン島)、香港、ベトナム、マレーシア、バーレーン、アラブ連邦

 

ボトムグループはで、

アメリカ合衆国、メキシコ、ブラジル、スウェーデン、英国、(Guernsey),(Jersey)、イタリー、南アフリカ、サウジアラビア、インド、中共、タイ、インドネシア、フィリピン、

そして、33カ国中32位の日本

 

大体、元ネタがグループ分けしてくれたのですから、すごくはっきりしてます。

 

まず上位グループですが、

カナダ、オーストラリア、ニュージーランドとくればもう、未だに移民受け入れで人口を増やすことが国策でしょう。

 

つぎに、シンガポールとスイス。こうやって並べるとこの2国家とても成り立ちがにていますね。そうかシンガポールっと東洋のスイスみたいなところだったのですね。こういうところでは、国籍に関わらずいつも主に金融関係のプロフェッショナルを歓迎してますよね。

 

最後が、スペインとトルコ。トルコのことはかなり複雑でよく知らないのですが、EUに長い間国民が流失し続けていることだけは知ってます。そしてスペインはフランコ政権中にやはり、国民が流失してますね。

 

まあ、理由はともあれ、このグループの国は、別にダイバーシティの先進国というより国策として移民を増やすために背に腹は変えられないという国々でしょう。

 

ミドルグループ

 

まずは、ドイツ、ポーランド、フランス、アイルランド、(マン島、流石にここのことはよく知りません。)こちらはEUの国ですよね。別に移民に特に来てほしいわけではないけど、それこそ理念としてOpen Borderということでしょう。今回は日本の話しなのでこれ以上深入りしませんが。なんせ陸続きのEUですから、昔から行き来のはげしい地域でしょう。

 

香港、ベトナム、マレーシア、バーレーン、アラブ連邦

このグループは、普通にグローバルプロフェッショナルが、次に一山当てようとして目指しそうな国ですね。中国やインドほど敷居が高くないしという感じ。

 

ボトムグループ

 

さて、問題は日本と妍を競う?ボトムグループです。あまり細かい分析は今回しないので、大雑把にふたつのサブグループに分けてみました。

 

こちらが第一グループ

アメリカ合衆国、メキシコ、スウェーデン、英国、(Guernsey),(Jersey)、イタリー

まあ、2小国についてはよく知りませんが、基本ここに上がっている国は外国人に来てほしくないと言っている国ですよね。

アメリカに関してはともかく私が最初にこちらに来た頃の感じから、9-11で大きく変化し、その後今回のトランプでもうパラノイア状態。メキシコも実は中米からの難民にうんざりしてます。

英国もアメリカににており、わざわざBrexitやったわけですが、最もこの先はどうなることやら。イタリーも英国に似ている。後、観光国家だありながら、ここは観光公害がひどくて外国人旅行客にうんざりしている人が多い。

 

そして残りの第二グループですが、こういうメンツになる。

南アフリカ、サウジアラビア、インド、中共、タイ、インドネシア、フィリピン、ブラジル

特にプロフェッショナルクラスの外国人にとって、あまり魅力がないのではないでしょうか。

あるいは、経済的には魅力でも、あまり住みたくない。さてここで質問

 

日本は、どちらのグループに入るのでしょうか。

 

ここから、日経の記事の内容に戻りましょう。これだと少なくとも第2グループに入るのは確実です。なんせ、同じボトムグループのなかでも賃金やワークライフバランスは最低ランク

 

まず、生活全般では、15位、でも「生活のなじみやすさ」は32位、「コミュニティの許容性」は26位

逆に「政治的安定性」は6位で(これはトップグループですよね。)、「生活の質(QOL)」も13位と、上位半分にまで入ってます。

 

次は、仕事全体では30位、ひどいのは「ワークライフバランス」と「賃金」ともに33位で最下位

一方、「経済的安定」は13位で比較的高く、「潜在的可能性」は16位。

 

最後に子育て部門全体では、33位と最下位そして、「教育」も33位と最下位、さらに「友だちづくり」は32位、「学校教育」は24位でなんとか下位グループをまぬがれてますがボトムハーフですよね。

 

で、第2グループは確定として、まあ第一グループにも入りそうな感じをこの記事は強調したいらしくて、2つエピソードをあげている。

 

一つは、どうやら50代のおっさんの、ゼノフォビア的反応。

そしてもう一つは、大きなトランクを引きずるマナー問題のポスターで、金髪碧眼のキャラが使われていたこと。

 

え、これが理由?

 

50代以上のおっさんなんて、ゼノフォビア以前に、無自覚でひどい男女差別主義者でしょう。こういう上の世代にDiversityのなさを今更あげつらう意味はあまりないと思う。

 

2つ目の例。これは私苦笑いしましたよ。だって、本当にひどいマナーでうんざりするのは一部の某アジアの国からやっていらした人たちですから。欧米人がわざわざ日本まで来て、列を見出したりスルの私は見てません。そして、アジア人と一口に言ってはいけないこともしっかり目撃してますから。

 

そして、この記事の一番頓珍漢なところは、彼女の昔アメリカに留学したころの思い出。

私はどうも、ワシントンの移民局の役人が日本人と他のアジア人を何故か差別するので、個人的に意地悪されてません。

が、あまり英語の上手でない、でもアメリカに来て随分建っているはずの他のアジア出身の方々が、意味なく搾られているのを目撃してますから。

 

で、私が、この調査結果と、記事の前半を読んで出した結論は非常にシンプル。

世界のなかで日本は、女子供(若い人)にとって極端に生きにくい国のひとつです。

 

日本が、外国人労働者(これも、プロフェッショナルと、単純労働者で随分違う。)とこれからどう対応していくのか、日本人も政府もまるできちんと考えていないのは事実です。

 

ただ、一部の外国人労働者抜きではやっていけない産業では、現場で少しずつ改善がすすんでいるところもでてきているのです。

(妹の工場でも、工事現場でも、もはや外国人なしに仕事が回らなくなってますから。)

 

ただ、この記事が問題としてあげているのは、むしろ外国人労働者以前に、日本の若い世代は女性が極端に働きにくい国であることの各種症状であると思うのです。

 

そこを履き違えると、現状無視、上から目線の’Diversity’がわからない日本人は遅れている的言説となり、逆に外国人労働者との溝を深めると思います。

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