アメリカではいま、連邦レベルの最低賃金を上げるかどうかが結構な話題にはなっています。
アメリカの場合、2009年に時給$7.25に設定されて以来、一度も上がっていません。
ただ、州レベルでは連邦レベルより高く設定することは可能で、私が住んでいるMaryland州では、$10.10、東海岸北のはてのMain 州が今年上げて、$11,そして全米で今現在一番高いのが西海岸のワシントン州とカリフォルニア州で$12です。ただし、ワシントン州では、来年さらに$13.50に上がることが決まってますが。
ついでに、いわゆる赤い州、つまり共和党の地盤の南部そして中西部の州は、州レベルの最低賃金も連邦と同じのママで据え置き状態です。
今、民主党がコントロールしている下院が出した議案というのが、これを2024年までに、$15にあげようというものです。
確かに現在の$7.25の倍ちょっとですし、一見かなりの上げ幅だといえますが、逆に今まで据え置きされてきたことが問題だというのが民主党側の論点です。
いやー、特に右よりのエコノミストがこんなコトしたら失業率が上がると騒いでますが。
むしろ今の失業率の低さが問題でしょう。
つまり、人を雇うコストがあまりに安いので、雇っているだけ。
以前にも書きましたが、それに加えていわゆるフリーランスという名のの、全く保護されない労働者が支えている、Gig Economy が大きな数字になってきています。そして当然こういう人たちはこの$7.75という最低時給さえ、もらえないことが普通。
私はエコノミストではないですが、正直いま経済上層に本当にお金が余りすぎている。だから実経済として豊かになっている感覚がまったくないのに、リーマンショック以来、企業レベルの好調景気が続いている。
大体リーマンショックの原因のひとつも、お金あまりの金持ちが、貧乏人に金を貸して、結果的にやりすぎてこけた。これが実態ですから。
これ、今のアメリカの景気って、史上最低の失業率と一緒にのびてきているのですから、本来一人分の給料で二人雇えるのなら、人どんどん雇いますよね。反面、正社員が増えたという話は聞いてません。ですから、上層を覗いてまったく潤っていないのが実態です。
さて、日本の話しです。
私は、少し前まではイケハヤさんや、マナブさん的フリーランスのすすめに、ここまで疑問感じませんでしたが、今回の記事を見て正直こういうインフルエンサーの言説の浸透に怖さを感じるようになりました。
はい、またもや東洋経済オンラインです。
クラウドソーシングで生活する「若者の実情」シェアハウスに住み、食事は肉じゃがの一択
この記事の登場人物は、一応理工系の大学をでていて、しようと思えばIT系の会社に就職することもできたらしい。
でもそのかわりに、新卒で、クラウドソーシングで仕事を探しながら、フリーランスになったそうなのだ。
そして、そういう決断をした理由というのが、主に2つあるのだけどこれが引っかかる。
1.仕事はあるといっても、IT系大手は狭き門、そして中小企業はブラックかも知れないから怖い。とても普通の中流の生活という未来を描けない。
2.’NPO法人が主催するイベントで「好きなことをしながら稼ぐフリーランス」という選択があることを知って、これだと思った。
で、彼は新卒でフリーランス、といってもプログラミンとかではなく、クラウドソーシング経由で仕事をとってくる
Web ライターだそうなのです。
今は、千葉県のシェアハウスの六畳間の更に、その半分に暮らしていて、すぐ近くの見た目だけは非常にカッコいいシェアオフィスに、でかけてせっせと、ライター仕事をこなすそうです。
で、クラウドソーシングの手数料をひいた後の手取りが15-20万だそうです。
こういう生活をしてますから、生活費や経費はすごく低く抑えている。
基本三畳間にすんでいるわけですから、当然のことながら持ち物は極端に少ない。
でも、ミニマリスト的生活だから良いそうです。
そして、私が一番愕然としたのが、次の一文。
’家計に余裕があるときは、都内で開かれる、フリーランサーやウェブライターを対象にしたセミナーに参加。’
一言、言いたい
一体どれだけ情弱なんですか。
よく、20%ー80%という法則があるけど、
結局セミナーとか、情報教材を買い込む人の8割は、ただの良いお客さんだと思う。
この人はセミナーに行く一方で、クラウドソーシングサイトにつく、評価の星を高める以外にご自分の本当のMarketablityを調べようともしない。
ちゃんと、PV, 直帰率、コンバージョン率など、ご存知だけど自分がどのレベルか調べようともしない。
これじゃ
搾取されてもしょうがないでしょう。
確かに、ブラックな中小企業もあるけど、全てがそうではないし、大体皆さんブラックだとおもったらさっさと辞めるべきだし。
やめさせてくれないなんて事になったら、退職サポートサビースだって今はある。
この人妙に、税金対策(青色申告)とか、国民年金の免除申請とかはやっているけど、そういうことがきちんとできるなら、なぜここまでひたすら貧困のスパイラルを下っていくような設定に自分をはめたんでしょうか。
私は、普通にイケハヤさんなんかに突っかかるおじさんみたいな人生論を持ち出したいのではありません。
確かにブラックな会社もあるけど、全てがそうではないし、滅私奉公的Mindsetさえ捨てれば、それなりの許される範囲で、
給料泥棒に徹してもいいでしょう。
このひとには、とにかくすごく社会的つながりが欠けている。
ものすごく、自分で自分の可能性を狭めている。
未だに、わざわざお金をだして、ウエブライターのセミナーに行くとか、この状態ではありえないぐらいの情弱でしょう。この人の今のライフスタイルって、どんどんエネルギーが枯渇していくと思う。
くり返し言うけど、肉体労働系で、優遇してくれるところもあります。
ゴミ回収の公務員は、年収500万超すし、妹の会社の作業員さんは高卒の未経験で、正社員待遇、初任給で年収300万、プラスボーナスです。しかも、割安の新築したばかりの寮もあるし、福利厚生は全て完備。(さすがに、この条件だと応募がしっかり来るようになりました。)
肉体労働系がいい理由の一つは、基本あまり残業がないこと、安全管理と健康管理が非常に重要事項ですから。ほら、事故とかあると大変でしょう。
もし、対人力と、ある程度の容姿に自信があるなら、今は男性にだってホストと言う道もある。
ここに上げたような仕事は、何も一生続けろと言っているわけじゃない。ただ、何をしたいか、何に向いているかわからないと感じるなら、肉体派か、営業力成長が王道のどこでもなんでも使えるベースな能力です。
私は昔、フリーのライターやっていたから知っているけど、やはりライターだけだと弱いし、最終的に署名原稿がかけないとこれ一本で一生食べていくのは無理に近い。
署名原稿が無理なら、事務所作ってもっとまとまった仕事受けるとかありますが、あ、ここではやはり起業という方向性にまたなるし。
結果的にだけど、イケハヤさんの煽りや、Manabuさんの情報教材は、この記事みたいに貧困スパイラルに嵌っていく人を増やしていると思う。
最後に、例えば、お金を500万ぐらい溜めたら、基本会社始められますよ。今の日本には引き継ぎてがいなくて、そのまま潰してしまうという小さく、そして結構優秀な会社が、本当にものすごい数あるのです。
むしろ、アジアからやってきた人たちのほうが、そういう会社を買ってたりします。
私だって、確かにあまり多くのものはいらない。でも、そうはいっても時々美味しいもの食べたり、面白そうなEventにいったり、そして趣味だって楽しみます。
この人は、今みたいな何もない生活をこれから40-50年続けていくつもりなのだろうか。
何かが決定的にずれていて、私は怖い。