ロックダウン下のアメリカから、その5 Las Vegasの未来についての記事を例として、コロナ後の世界について考え始めました。

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英語ですが、こんな面白い記事を見つけました。

Why Re-open the Las Vegas Strip?

著者は、カジノ業界の投資家、分析家みたいな人で何よりもこの業界にひどく長く関わっています。ですから、21世紀になってから起きたいわば過去の危機をすべて経験している。

2001年9月11日の同時多発テロ事件、そして2008年からしばらく続いたリーマンショックを発端とする金融危機。

彼の記事は、Las Vegasはこの二つの危機から立ち上がり再生を果たした、だからコロナからもきっと立ち上がれるはずだと結ぶのですが。

でも、途中の分析内容から出てくる結論と違わない?

最後の取ってつけたような楽観論の前に、彼は的確にいかにコロナの後ビジネスの再開をするのが困難かについて説明しているのです。正直最後が楽観論で終わるとは想像しがたいほどに、

その要旨の肝はこう箇条書きにされています。

  1. People have to want to travel and have the means (income) to travel. (皆がまた旅行したいと思うようになり、さらにそのための収入が復活している。)
  2. People have to feel safe coming to Las Vegas. (皆が、アメリカのラスベガスに来るのは安全だと思うようになる。)
  3. We have to feel safe having people come to Las Vegas. ( 皆が、ラスベガスで働くのは安全だと思うようになる。)

いや、この三つを読んですぐ、え、じゃあラスベガス見たいなところ今後すごくやばいじゃないとおもいましたから。

まず、過去の2大危機を振り返って見ましょう。

9-11は、確かに衝撃的ですが、確率や予防を言うものを冷静に考えた場合、ある意味対策が練りやすかった。もちろんあの事件のせいで国家安全保障法みたいな規制が欧米各国で成立してしまいましたが。ともあれあれは基本政治的危機であり、経済的危機ではなかった。

それに対してリーマンショックを発端とする金融危機は、もっと深刻でした。先進諸国の金融システムが軒並みやられたわけです。

ただ、それと別の次元でしっかり動いていた経済活動は、金融危機で影響を受けた経済活動よりずっとおおきかった。さらに、あの時は、

中国経済が、世界経済を支えた。

まあ、アメリカから見ていると、オバマ大統領下のアメリカ経済って、歴史上で一番中国と親密だったんじゃないですかね。

そして、中国の勢力が実に拡大した。

私、Trumpに関してはほぼ99%ダメですが、たった一つ賛成するのは対中国の強硬策です。オバマはあそこまで露骨なことはやれない。もちろんTrumpはこういう強硬策を取る一方で、自分の娘が中国で儲けるためのチャンスはしっかりサポートするわけで、別にポリシーあってのことではないですがね。

さて、現状況です。

日本を除くほぼすべての国が、ロックダウンによる新型コロナウイルスの抑え込みにやっきになって国や、アメリカの州によって違いますが、一か月前後立ってます。

で、効果は上がっているのです。

アメリカでさえ、感染数の増加は頭打ちになってきている。

ただ、これはっきりさせておきたいのですが、感染数そのものは相変わらず増えてます。

ただ、

増加数の増加がやっと頭打ちになってきた。

まあ、近似的に言うと、指数関数的な増加が、線形的になったということです。

だから、感染の拡大そのものがもっと収まるには、まだまだ時間がかかる。これが第一の問題。ですから、はなっから感染密度の低い、広くて人口の少ない一部の州を除いて、

5月からロックダウン解除なんて冗談でしょう。

実際、一度は感染が収まったとされる中国で、まだ大した数字ではありませんが、また感染者数が増え始めてます。

で、これがまた中国によると、国外からの帰国者によってもたらされたというそうです。

大体、中国の場合、ともかく武漢で極端なロックダウンを行った結果、他都市への感染はかなり少なかった。

でも、いまになって無症状の感染者が、どうやら大量にいるらしいこともわかってきた。

ともあれ、中国のように簡単に政府が強権を発動できる国でさえ、これだけ苦労している。

では、一体ほかの国はどうやって今の状態からうまく抜け出せることができるのか。

まあ、ワクチンができるまでは、たぶん完全なロックダウン解除は無理でしょう。

さて、話をすすめるために、ワクチンができたとしましょう。それで本当に私たちの経済活動は、そう簡単に元の姿に戻れるでしょうか。

なにより、各国の国内問題はさておいても、

中国の経済、そして中国と全世界の関係が完全に変化してしまった。

でまあ、ラスベガスの話に戻すと、リーマンショックの直後のように、中国からのお客さんによって勢いを取り戻すというのは、たぶん無理だと思います。

中国系のアメリカ人に関しては、私なんの問題もありません。私だって単なるアジア系だし。

でも、正直に言います。中国本土に住んでいてそこから観光客としてやってくる中国人は、

怖い。

さらに、中国に行くなんて可能性はも考えたくない。

私ですらそう思うなら、中国人観光客の多いラスベガスのようなところに、アメリカのそれの白人観光客が、なんのためらいもなく訪れるでしょうか。

ホテルや、カジノとしては、正規のビザで入国している限り、そうそうお金持ちの外国人を国籍によって拒否することはできないでしょう。

でも、アメリカ人なら、

中国人が多い、ラスベガスは避けたいし、

中国人の多い、ラスベガスでは働きたくない。

こうなりませんか。

ラスベガスは、どうにかしてカジノ客以外のビジネスを呼び込もうとずーっと頑張ってきました。アメリカ人が大挙してラスベガスを訪れるのは、家族旅行ではなく、

コンベンション

こういう大きなイベント向きの、巨大ホテルにラスベガスは事欠かないし。

でも、こういうコンベンションみたいな巨大イベントが、コロナ後の世界で、今までと同じような頻度で行われるとは到底思えない。

私が、いい加減腹を据えて在宅仕事をきちんとしようと思った最大の理由は、コロナ後の世界が、今までと同じとは到底思えないからです。