アニメ’盾の勇者の成り上がり’ エピソード21のユニークな盛り上がりと、世界的格差と不条理の蔓延について。
多分、ほぼ毎回イライラしながら、次こそは、どうにかなってほしいと祈りながら見ていたのが、この、アニメ
’盾の勇者の成り上がり’です。
その願いがやっとかなったのが、今週放映されたエピソード21でした。こんな風に思いながら見ていたのは、日本人のファンだけではありません。
アメリカ最大の、アニメストリーミングサービス、Crunchy Rollにもこんな記事がでました。
Shield Hero Fans Cheer for Naofumi’s Justice
自分のことのように皆さん尚文さんのために喜んでますね。私もネタバレ全開デコの記念スべきエピソードについてレビューです。
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そもそもこのお話は、いわゆる異世界漂流ものなのですが発端に、大きなひねりがあります。
異世界に召喚されたのは、どうやら厳密には全く同じではない、現代の日本からの学生たち4人、4人共勇者としてこの異世界に登場します。
剣の勇者、元高校生の天木 錬
弓の勇者、同じく元高校生の川澄 樹
槍の勇者、元大学生の北村 元康
そして、この物語の主人公である盾の勇者、元大学院生の岩谷尚文
とここまでは、まあありがちな設定ですが、なぜか召喚早々、この国の王女マルティになんと
強姦未遂の濡れ衣を着せられます。
最初から、他の攻撃系の勇者に比べていかにも地味だったし、微妙に扱いもしただったので、あれと思いましたが、初回でこの展開にはびっくりしたのを覚えてます。
アニメは、すでに2シーズン目の後半に入ってますが、2月にすでに注目作として一度レビューしましたっけ。
で、あれから5ヶ月、21作めにして、やっと尚文さんの汚名が挽回されたので、ファンは皆かなり気合をいれて、
お祝いしているわけです。
ここに至るまで、尚文さんは本当に苦労してます。
実はそもそも4勇者が召喚された国の人間の多くはは、端っから盾の勇者に対して悪感情をいだいていることが、お話が進むに連れはっきりしてきます。
そして、このソシオパス王女マルティの父親である国王からして、単にマルティに甘いからというだけでなく、盾の勇者、そしてケモミミの亜人国に恨みがあることがわかってきます。
更にそれとはまた別に、三勇教という盾の勇者をほぼ悪魔扱いし、他の三種の勇者だけをあがめる理由のわからない宗教団体も登場します。
ただ初っ端から一番嫌だったのは、日本から同じように召喚された他の3人が、まるで尚文の言い分に耳を貸さなかったこと。
その癖、この3人は基本尚文以上に多分ガキです。
一番年上の元康(なんとなくこれって、ホストの源氏名ぽくありません。)は、そもそも女好きで、完全にソシオパス王女マルティに骨抜きにされています。
さらに、契約の奴隷紋を入れているとはいえ、結果的に信頼関係を結ぶことのできた、尚文の女性剣士、ラフタリアを、
思い込みで、尚文から’救おう’とする。
元康は、一番うっとおしくてイライラするキャラですね。妙に尚文の二番目に従者、そして次期フィロリアルクイーンの候補である、人間態のときは、少女姿のフィーロにロリコンまるだしで近づきたがります。
残りの二人は、冤罪を真に受けたことを除くと、まあ元康よりは、年下にもかかわらず冷静ではありますが、基本3人ともだめなのは、
ゲーム感覚が抜けていない。
勇者が召喚されたのは、この異世界に迫りくる別世界からの攻撃に対応するためですが、そのための修行やら、途中のモンスター退治など色々な状況で、以下に尚文以外の3人が、この異世界の住人たちをないがしろにしてしまうかも、しっかり描かれて行きますから。
さて、今回の直前の状況では、三勇教が牙を剥き、尚文だけでなく、4人の勇者をまとめてころそうと、教主がおおがかりな攻撃をしかけるのです。
この戦闘のはじめは、またもや馬鹿の元康が、三勇教に騙され、尚文を残り二人の勇者を’殺した罪’で断罪しようとするところから。
そこで尚文とその連れ(ラフトリア、フィーロ、そして行きがかりで同行していたこれはまともな方の王女メルティ)対 元康にマルティ、そしてその連れの従者との戦いが始まりますが、そこに三勇教が、まず大規模な攻撃を仕掛けるのです。
もちろん、結果的に全員が助かったのは、
尚文が守ったから
この後、錬と樹も合流し、もちろん濡れ衣は晴れましたが、ちなみに一言のわびもありません。で、三勇教の教主は、一緒に連れている信者のパワーを使い放題なので、ものすごく苦戦するわけです。
で、最終的にまた、
尚文が、自分の血を使う形で特殊攻撃してやっと勝利
尚文というひとは、基本くらいとか、女の子に鈍感とかまあ言われますが、結局4人の中でもともと一番大人なのですよね。
別の言い方をすると、
馬鹿じゃない
最初の強姦未遂の冤罪を始めとして、その後もなんだかんだと根も葉もない悪名やら、陰謀の汚名を着せられたりと、ずーっと私達ファンをイライラやきもきさせ続けますが、その一方で、ラフトリアやフィーロを育て、彼女たちとの信頼関係も育て、商人としてきっちりとした商売を行いつつ、勇者的責任も果たすのです。
ですから、敵と3バカ(残りの3勇者)以外は、少しずつですが尚文の実像と実績を受け入れるようになっていきます。
まあ、前回のラストで、尚文が勝利を決めたことによって、事実上汚名ははらされたようなものですが、今回が盛り上がったのには、それなりの理由があります。
そもそも、この王国メルロマルクは、最高権力者が、前回で登場するまで不在だった、
女王なのです。
尚文が、重度の負傷からやっと目覚めた時点で、この女王は、自分の夫である王と、長女のソシオパス王女マルティを、捕らえ公開裁判にかけるのです。
あくまでも白を切る娘に、なんとこの女王は奴隷紋をいれ、偽証ができないように魔力で縛ります。
そしてついに、
公衆の面前で尚文の汚名が濯がれるのです。
まあ、別に三馬鹿が謝るわけではないのです。
でも、厄介な敵を倒すことよりも、この作品では尚文の名誉回復のほうが、
最大イベントなのです。
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異世界漂流物って、結構元の世界でイマイチ、もしくはどうしようもなくて、別の世界で気分良く再出発というパターンがやはり基本ですよね。
ところが、この作品の場合、まあ良くも悪くもない元の世界から、異世界に放り込まれて、突然見に覚えのない罪を着せられるところから始まるわけです。
そして、他にも色々な出来事があるにもかかわらず、汚名挽回こそがここまでで一番感動的なクライマックスな訳です。
これは、ただのお話の力なのか、それとも、ファンの現実が、
尚文の運命に反映されているのか。
アメリカでも、とにかく若い世代の貧困が進んでいます。そして経済力を持てず、借金を背負ってまで言った大学での背景がまるで生かせないような仕事についている若い世代が増えている。
つい最近発表された統計では、アメリカのミレニアルたちは、(20代、30代)はその一つ上の次代に比べて、平均資産がなんと
40%も低いのだそうです。
不条理で残酷な世界に翻弄される若い人たちにとって、尚文の運命の上げ下げは、他人事と思えないほど感情移入してしまうものなのか、
彼らより、ずーっと年上の私としてはかなり考え込んでしまうのです。
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