共和党が最初に変化したのは、やはりレーガンからでした。
でも、それでもそれなりの節度というものはまだあった。それがとにかく党優先で完全に政権闘争のためなら何でもする党にはっきりと変化したのは、クリントン政権時代に下院をとった、Newt Gingrich 議長の時でした。
彼のもとで、結局汚職を証明できなかった共和党は、最後にクリントンの一番弱みである、女癖の悪さをつつきだしました。
でも、あれだってセクハラ疑惑ではなく、(セクハラ疑惑は証明できなかったので)単に不倫を働いていて、それを正直に認められなくて偽証罪に問われたわけです。
それが、息子Bush時代は、どちらかというと外交政策の変化がFocusでしたが、その後ヒラリーがついに大統領候補になりました。
ただこの時最終的に、あとから彗星のように現れたObama大統領に政権を奪われてしまいました。
そして、Obama時代に、特に被害者意識の強い、白人のブルーカラーの男性を中心としたそうにアピールというかもう先導しまくって、
Tea Partyという共和党史上最右翼が下院、上院を取りました。
大体このころから、白人至上主義者が、過去をないがしろにして、平然と発言権を持つようになっていきました。
だからこそ、民主党としては、2016年の大統領選挙と、それと同時に行われた上院下院の改選分の選挙に負けるわけには行かなかったのです。
でも、ご存知のとおり、
トランプが大統領になり、下院も上院も、Tea Partyの強い共和党に取られたのです。
同時に、Tea Paryは州レベルの選挙でも勝利を積んでいきます。つまり、州議会そして州知事。
どうしてこれが重要かというと、ある程度までは州をコントロールする党が、自分の都合のいいように選挙区をいじったり、選挙権の登録プロセスをきつくしたりゆるくしたりします。
今までも何度か紹介しましたが、これが主に共和党が違法ギリギリまで乱用する、Gerrymanderingという、選挙区地図の操作です。
実は、少し前にPennsylvania州で、共和党が作った選挙地図が違法判決を受け、より公正な選挙区分けが施行されました。その結果についてはこのあと触れます。
アメリカは、人口全体で見ると、すでに民主党が過半数を超えています。
だから、わざわざ、違法ギリギリのあらゆる工作に励むのは、共和党側。でも、Tea Party そしてTrumpの党になるにつれ、とにかくもう厚顔無恥としか言えない。
さらに、たとえば大統領選挙は、各州に振り当てられる、選挙人の取り合いなのです。でもちろん、比例代表制ではないので、大きな州ほど、選挙人一人あたりの人口が大きい。
そして、人口比でいえば、上院の選挙ほど、人口の大きい州に不公平な選挙はありません。
ヒラリーの負けで一番きつかったのは、選挙人の数でトランプの当確が出たあとも、ぞろぞろぞろぞろ、ヒラリーの獲得した得票数が増えていったのです。
なんと、最終的に300万以上、ヒラリーが得票数では勝っていたのです。
知ってましたか?
ロシア選挙介入疑惑以前に、いかに共和党のあらゆる工作が民主党側に不利になっていたかわかるでしょうか。
さて、そういう状態から、もう完全に打ちのめされた状態から、一番最初に立ち上がったのは民主党サポートの女性たちでした。
1.この選挙の最大の功労者は草の根運動をどん底から立ち上げた人々、特に女性たちです。
選挙前夜5日の夜のRachel MaddowShowの、最初のセグメントは、いかにこの地道なプロセスが、まだトランプ大統領という悪夢に馴染んでいない選挙直後から始まったかリポートしてくれました。
そして、こういう草の根運動の中心に、今回ほど女性が多かったことはなかったのです。
それを反映して、下院の当選者に占める女性議員の総数も歴史上最大となりました。
女性知事も複数当選しています。
ヒラリーはひどいめにあったけど、やはり2020年は民主党大統領候補は、女性か若手出会って欲しい。
2.民主党最大のベースは、今や白人男性を除く全て
白人女性は、すでに民主党が過半数です。白人以外は全部民主党が過半数。南米系はそもそもカソリックなので、共和党寄りになる可能性もありましたが、それはTea ParyとTrumpサポーターがしっかりつぶしました。
若い世代は、どんどん民主党サポーター増えていますし、さらに増えるでしょう。教育、銃規制、地球温暖化など、何十年先の未来を真剣に考える以上当然でしょう。
いわゆるキリスト教色の強いそうも、若い世代はこの辺の争点でどんどん共和党離れが進んでいます。まあ、一つには今の共和党はもう教条的な右派しか残っていないし。
厳密には、まだ65歳以上とベテラン(兵役経験者)は共和党が過半数をとっています。
ですから、教育があまりなく、ベテランで、65歳以上の白人男性、これが今のデマにもとづいた恐怖にしがみつくTrumpサポーターの典型みたいな形になります。
あと、高卒までの白人男性も。
3.企業ベースの好景気は共和党に何のプラスももたらさなかった。
これ、マスコミが好景気と指摘する割には、大企業に務める一部をのぞいて、普通の人は好景気の恩恵とやらを感じていないと思います。
失業率がたしかに低いのですが、でもこれは就職活動をやめている人口を除外してますし、さらにいわゆるUnderemployment,自分の経歴にふさわしい職が見つからず、とにかく食べるために働いているというひとたちが 以下に増えているかということはまったく計算されませんから。
あと、トランプの減税は、さすがトランプに投票した人たちからも悪評。つまり得したのは金持ちだけということがはっきりしてきました。
4.まともな教育を受けた人間ほど民主党サポーターになる。
これが、一番結果にひびいたのは、特に民主党にも共和党にも登録していない、Independentと呼ばれる層です。
この層が、一番大きくFlipしたと言われています。つまり、2016年は、アンチヒラリーでトランプに投票し、今回の選挙ではその選択を改めるために民主党側に投票したのですね。
ただ、この層は、Independentlyは基本リベラルではありません。だからこそ民主党はあまりリベラルな候補を立ててしまうと、本選挙で勝てないということがよく言われます。
ただ、ときのの移り変わりによって、いままでリベラルすぎると見られていた争点が、どんどん受け入れられていくという可能性があります。
とくに、ことイデオロギーに関する限り、若い層ほど一昔前はリベラルすぎると言われていた争点を標準として受け入れています。
たとえば、Colorado州で、初のGayの州知事が誕生しました。そして、今回中西部の州数カ所で、マリワナの限定的使用が合法化されました。
結局すべての基本は草の根からですから、まずはLocalから変わっていくと思います。
5.史上最悪の選挙操作のもとの、下院奪還は大偉業
Rachelの選挙前夜の二番目のTopicが共和党による、Gerrymanderingの再確認でした。
本来なら、総投票での数%の増加が、そのまま過半数にむすびつくべきですが、このGerrymanderingのために、10%ないと、とてもじゃないが下院奪還は無理でしょうという分析を紹介してくれましt。
ほんとうに、Against All Oddsなのです。
ただ、ここに面白い例外があります。Pennsylvania州です。ここでは数十年ぶりに書き直された選挙区ごとに選挙があり、その結果当選議員の党別比率の、総投票結果の比率が大体一致しました。
もちろん、今までと違い、民主党側の当選数がずいぶんと増えました。
今回下院奪還とともに、地方選挙のあった州では上院選挙を覗いて、こちらも民主党が大幅に伸びました。ということは、こういう州では、今回あったような共和党による操作が、2020年の選挙までには是正されつということです。
これもおおきい。
6.若者の初投票が急上昇しました。
これは、とてもいいサインです。いままで、特に中間選挙では若者の投票率が低いということがいわれていたのですが、今回は特に初投票というそうも凄く伸びました。
7.共和党に取られた選挙区でも、どんどん民主党サポートが広がっている。
これはもう事実ですから。
共和党が必要な層は、自分たちの地盤がどんどん削られていくことを知っています。だから、たとえば最高裁に共和党右派のイデオロギーをサポートする判事を、何が何でも送り込みもします。
最高裁判事は今の所、死ぬまで任期が切れませんから。(もちろん、辞職や退職はできますが。)
アメリカで実際に起こっていることを知ると、自分に何ができるか、あるいは自分が本当は何がしたいのか、そして何が自分にとって本当に大切なのか考えてみる、そんなきっかけになるんではないでしょうか。