Trumpが大統領になって以来、この弾劾(英語でImpeachment)と言う言葉を聞かない日が少ないぐらいです。
それは特に、去年の秋のアメリカ上院、下院の中間選挙で、民主党が下院を制覇して以来ますます声高になってきました。
なにせ、Trumpには当選して当初から、ロシアとの関係がちらついていますから。
ちなみに、この弾劾と言うプロセスですが、
身分保障された官職にある者(大統領、最高裁判事など、他の誰かが解雇できない超高官たちですね。)を、義務違反や非行などの事由で、議会の訴追によって罷免し、処罰する手続き。
ちなみに、アメリカ以外にも、日本(裁判官と人事官のみ)、韓国、イギリスなどでもあります。
ともあれ、トランプのロシア疑惑絡みで、特殊捜査官Muellerが徹底的に捜査を行ったのにも関わらず、基本トランプが肝心のattorney general(日本の法務大臣にあたります。)をBarrというゴリゴリのトランプ派に挿げ替え、結局ウヤムヤにされてました。
一つには、TVしか見ないそうに分かりやすい内容ではなかったこと。まあ、大体アメリカの高いお金取る弁護士というのは、いろいろ重箱の角をつつくことによってうやむやにするというテクニックに長けている人たちだったりしますから。
後もう一つは、Muellerの捜査が、トランプのFinanceには触れなかったことでしょう。
ただし、Muellerのリポートそのものは、基本Trumpへの疑惑が晴れていないという、非情にわかりにくい言い方ですが、なんども細かい事象に関しては正直状況証拠が本当に山積みになっている内容でした。
実際、トランプの側近たちは本当にどんどん起訴されましたから。
結局、トランプは大統領という現職ではアメリカで誰よりも上の地位なので、普通に’告発’することすら、法的に制限があります。
だから、弾劾(Impeachment)と言う声が、民主党の左派からどんどん大きくなってきていたわけです。
ただし、下院議長であるNancy Pelosiは、こういう動きをずっと抑えてきました。
もう、超おばあさんの知恵袋みたいな方ですね。
基本、最終的にImpeachmentを成功させるには、下院だけでなく、上院でも可決しなければなりません。しかし下院と違い、上院は寸差ではありますが、まだ共和党がコントロールしています。
しかも、現在の上院議長はもうゴリゴリのトランプの腰巾着、民主党のシンパにはよく亀にその容姿が例えられる、Mitch McConnellです。彼は最近、個人としてもロシアとの関係疑惑が浮かび上がってきて、Moscow Mitchなんて言われてます。こんな感じで、
おなじみの顎なし爺さん亀ですが、甲羅の代わりに、ロシアのトレードマークみたいなスタイルのお城の屋根を背負ってます。
で吹き出しで、
’I am not a Russian Asset!’
俺は、ロシアのものじゃない、つまりロシアに買われているわけではないと主張していますが、彼自身の姿がその言葉を裏切っているという構図です。
ちなみに、このMoscow Mitchというあだ名は、民主党の悪口としてはめずらしくそれなりに成功して、Tシャツも売ってます。まあ、民主党としてはトランプが大統領になる前からこのひとの横暴に泣かされていたので、さもありなんですが。この話はまた別の機会に。
ともあれ、Muellerレポートは結果的にトランプ側の逃げ切りとなり、Nancy Pelosiは、弾劾プロセスに踏み切りませんでした。
それが夏のはじめ。
その後私は日本に言ってしまったので、自分的にアメリカの政局にたいする興味が今一減ってました。まあ、Muellerが不発というのはありましたし。
が、ここに来て全くレベルの違う、厳密にはロシア本国ではなく、ウクライナ絡みの疑惑が浮かび上がってきたのです。
そもそもこの話は、トランプ大統領が、元New York 市長であり、今はトランプの腰巾着圏、個人レベルの非公式の弁護士ということになっているRudy Giulianiが、現在民主党大統領候補のトップランナーである、元副大統領のBidenにかかわるスキャンダルを探すためにウクライナ政府にコンタクトしたところから始まります。
で、これでも大問題なのですが、なんとトランプ大統領がウクライナ大統領に直にこの件で電話で話したらしいというのです。さらに、ウクライナ政府にたいしてアメリカの援助を餌としてちらつかせてというのですから穏やかではありません。
ただし、これはトランプが発表するわけもなく、なんとアメリカ諜報機関内部からの、
前代未聞のWhistleblowerからの告発でした。
で、これがなんでそんなに大事になる可能性があるかといいますと、前回のロシア疑惑の場合、最悪疑われていた罪状は、
Collusion
共謀、談合を外国政府、つまりロシアと下のではと疑われていたわけです。もちろん、選挙に勝つために。
Collusion当事そのもので、罪に問われるというよりその過程で色々な罪に問われる可能性があるというのが実情。トランプの元側近で起訴され他人たちも、罪状は別ですから。
さて、今回なぜ大事になったかというと、トランプがやった’かもしれない’ことは、最悪、
Treason
つまり、反逆罪の可能性を含んでいます。これ一番最初に今回公で口にしたのは、民主党の議員ではなく、ほぼ党にも、トランプにも無視されている、共和党のトランプ以外の大統領候補の方です。(この無視の仕方って、完全に民主的プロセスを妨害していると思うのですが、あきれる。ちなみに、共和党議員の方々の、引退も止まりません。)
日本は知りませんが、アメリカの場合もしTreasonで罪が確定した場合、刑罰は一種類しかありません。
死刑です。
まあ、さすが本当に現職大統領をTreasonで告発することにはならないだろうと思いますが、もちろん、トランプは、Whistleblowerの証言も、証言記録もブロックしてます。
で、Pelosiがついに動きました。
トランプ弾劾のための諮問を、正式に発表しました。
(それにしても、この音楽ひどい。)
なんか、日本ではほとんどニュース担ってないけど、これすごいのですよ。
さらに、共和党がコントロールする上院が、ホワイトハウスに対して、Whistleblowerの証言と、証言記録のリリースの要求を、圧倒的多数で可決しました。
この2つは、本当にトランプのロシア疑惑が始まって以来の
大きな政局変動です。
ただし、何度も言いますが大統領こそが、すべての行政府のトップですから、それこそどんな妨害工作に出るかわかりません。
いや、ふと思ったのですよね。だってトランプって大統領でなくなったら、ほぼすぐ刑務所行きですよ。
ここでは全く触れなかった、すべてが記録されている過去10年間の確定申告書ももう隠せないし。
つまり、もはやこのひと失うものはなにもないでしょう。
で、アメリカでは最近、中位の規模の射殺事件が相次いでもいます。トランプと言う人は、自分のサポーターを扇動して、反乱だって起こしかねない人でしょう。
まあ、私はMarylandなのでまあまあですが、民主党と共和党が競り合っている州は、怖いことになる可能性すら今はあるのです。
トランプにもはや失うものはもうない。本当に怖い。