日本の漫画には、結構西洋風というか、ケルト神話風の、妖精や魔法の存在する世界を描いた名作は結構多いのです。昭和の少女漫画の中で印象に残っている作品の一つが、山岸凉子の’妖精王’でしたっけ。
で、最近の作品でとにかく突出しているのが、これです。
結構不思議なタイトルですよね。2013年の末に、月刊コミックブレイドで連載が始まり、今はオンライン版のコミックブレイドと、月刊コミックガーデンで同時連載中。
で、今回9巻目でまあそれなりの結末に至ったカルタフィス編(?)が終了し、発売されたばかりの第10巻では、主人公羽鳥チセが魔法学院に通い始める’学院’編の始まりです。
この漫画は私、アニメになる前からRentaでずっと読んでました。
アニメの方は、まず2016年に、3部作のOVAが作られて、こちらはチセが英国の何処かの田舎にあるらしいエリアス(基本的に骨姿の魔法使い)のところで暮らす前の、日本での出来事が描かれてます。
更に、2017年からアニメでシリーズ化され、ほぼ原作と同じストーリーラインをたどりながら、ちょうどカルタフィスとの決着がつく9巻の終わり辺りまでをカバーしてます。
アニメの最終回は、ちょっとした改変があり、それがとてもきれいでため息が出ますよ。
とにかく、原作を読んでいる人もアニメ絶対オススメです。まあ、Bluerayとかで買うとかなりたかいけど。私はこちらのアニメストリーミングサービスでいつでも見ることができてラッキー、もっともこのまえ日本でついアニメプロダクションワークスその2なんてのを、衝動買いしましたが。
漫画のアニメ化って、時々アニメ側から原作への愛が感じられて嬉しくなってしまうことがありますが、これはそのとても良い例ですね。
とにかく何がきれいって、人外生物たち、妖精たちが丁寧にアニメ化されていてたまりません。
そして、何より大事なのが、羽鳥チセの魔法のお師匠さんである、エリアスのCVですね。じつはエリアスの話し方はネームで読んでいても、丁寧なのにずれた感がある不思議ちゃんです。
その、愛らしい人外感を低音が心地よい竹内良太が好演してます。この方いわゆる萌えが喚起されやすい、若いイケメン声ではないので目立った主役は今まであまりなかったのですね。ナレーターとかは多かったみたい。(アニメCVリストを見ていて唯一すぐキャラが浮かんだのはなんと、配給の牛島さんですから。)
本当にエリアスといい、オーバーロードのアインズ山といい、私最近骨萌えです。
このアニメの基本テーマのひとつは、人外恋愛ということになりますが、そのなかで何度か確かチセが繰り返すフレーズにこんなのがあります。
’言葉はわかり合うためにあるのではなく、話合うためにある’
と。
これ、人間同士でも同じなので、
愛ってまず相手をうけいれることなのです。
骨顔のエリアスと美少女チセの関係が、無理のないものとして読むものに伝わるのはこの辺のメッセージがとてもしっかりしているからですね。
あ、もうひとつエリアスが自分の感情の中に生まれる感情を表すその言葉使いが可愛い。
寂しいという感情を初めて抱いて、胸が寒いと表現したり。
そうなのです、かなりこじれている(当然のことながら魔力を持つチセは、自分の両親を含め人間たちに疎まれる存在でしたから。さらに一番大きなトラウマは物語がかなり進んでからプロットに絡んで明らかにされていきます。)チセは、年齢よりずっと成熟した面もあります。
自己評価が低くて、それに基づいた行動に出てエリアスを震え上がらせたりしますがね。
ところで、この漫画に低評価を付ける人によくあるパターンが、ハリーポッターの影響を受けている云々。それ、おばかでしょう。
あのですね、ハリーポッターにでてくるいろいろな生き物だって主にヨーロッパの色々な伝説やら妖精譚をそこら中に取り入れているのです。
それに、日本はもともとケルトと並んで、妖怪の宝庫ですから、人でも神でもない存在をずーっと受け入れてきたのです。
要は、作者がどんなお話を紡ぐことができるかだけです。この話きっとながくなるでしょうね。私すごく嬉しいわ。