’社畜は、異世界転生チートの夢を見るか?’’ あるいは、’異世界’とは努力と報酬が比例している社畜たちの理想世界だった件について。

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うーっ、さすがラノベには手を出していませんが、やはり’異世界転生チート’系の漫画にはすぐ手が伸びてしまう私です。(基本、ラノベの漫画化ばかりですが。)

もちろんこのジャンルの面白さに最初に目覚めたのはこちらの作品、

転生したらスライムだった件 13巻

転生したらスライムだった件 13巻

転生したらスライムだった件 13巻

[著]川上泰樹 : 伏瀬 : みっつばー

いや、なんでスライムになる話がそれほど面白いなんて絶対ありえないと、ずいぶん長い間ていこうしたのですが、たまたま一巻無料だったのでトライ、あとはもう怒涛のように読みました。

で、これ本当にチート能力がよくできていて、それを使ってモンスターたちの平和な国を作っていく過程が非常に読んでいて気持ちがいいのです。いまとなっては、スライム姿のリムルちゃん大好き状態ですが。

さて、一口にチートといっても、大きく分けて二種類。最近実ははまっているタイプは、前世が最強の魔王やら勇者で、それがのちの世に転生してチートの強さだけど、妙に過小評価されるところから始まるパターンです。

これはこれで実に、気分はれますが、今回注目したいタイプはもう一つのオリジナルたいぷ。

社畜からの転生です

いまや、社畜の世界そのものを題材にした漫画も万々売れているようで、おめでたいというべきか怖いというべきか。

転スラの場合、そこまでひどい社畜設定はされてないものの、

30歳超えても童貞とか完全非リア充

で、確かにチートではあるものの、むしろその非リア充特有の、

過酷状況過剰適応力

を生かして、絶望よりまずやれること全部やる初期段階で、自分のチート能力(これはいろいろな能力を学ぶ力ですね。)を生かしていくわけです。

これは、たとえば異世界転生後のいじめとそこからの逆襲というかなり独特な世界観でヒットした、

盾の勇者の成り上がり 1

盾の勇者の成り上がり 1

盾の勇者の成り上がり 1

[著]藍屋球 [原作]アネコユサギ

これのいじめにいわば加担する主人公以外の転生者たちの、’チャラ度’かと比べると本当に印象的です。

つまり、社畜の夢は、決して

楽をすること

ですらなく、

報われること

なんですよね。これって泣けてきませんか? 元社畜転生者は誰もがあいかわらず、過酷状況過剰適応者なのです。

たった一つ違うのは、

成果と報酬、そして成果に対する賞賛がFairであること

で、過剰に成果を上げ続けるので、例えチート能力ありといえどもその進化力がばかにならないのです。

たとえばこれ、こちらの転生者は、スライムではありませんが、スライムの天才的テーマーというチート力から進化していきます。

この漫画は、転スラのようにサブキャラの豊かさはないのですが、いろいろな分岐ポイントで、何気に前世の社畜としての過剰適応力を思い出すのが面白い。

あ、この日とそういえば普通のGameキャラと違って、不思議なチート能力があります。それはMPやらHPやらが、かなりのNegative値になっても、意識を保ってさらに戦い続けることができるのです。

これって、まるで

Special Skill 社畜力ってことですね。

いやー、そうかそうか。やっぱこの漫画もすごく面白いのよね。こういう社畜力が、陰に陽に登場するから。後、なぜかこの主人公おいしいものにすごく弱い。これもやはり社畜のサバイバル特性という感じです。

こちらも、最近始まった元社畜転生異世界チートもの、

結界師への転生 (1)

結界師への転生 (1)

結界師への転生 (1)

[原作]片岡直太郎 [作画]装一 [キャラクター原案]雫綺一生

ただ、このお話は、漫画2巻にしてせっかく異世界で主人公のチート能力進化を支えてくれたFamilyを失うのです。と、そこから新展開。転スラでも似たようなことがかなり巻が進んだあとで起きるみたいですが、これって意識としての社畜からの解放でもありますね。

さらにもう一つ紹介しましょう。こちらは、社畜とまではいかないまでもそもそも子供時代から毒親である父親に虐げられ、大人になってからも誤解と偏見のもとに非リア充生活を送った挙句の転生です。

神達に拾われた男 1巻【デジタル版限定特典付き】

神達に拾われた男 1巻【デジタル版限定特典付き】

神達に拾われた男 1巻【デジタル版限定特典付き】

[原作]Roy [漫画]蘭々 [キャラクター原案]りりんら

この主人公も、スライムのテイマーとして天才的チート能力を発揮したことがきっかけで、魔法を使う一族に受け入れられていくのですが、彼の場合はこの成果と報酬が、物質的なものや栄光だけでなく、

新しい家族に愛される

という形で報われていくのです。

異世界転生チートもので、もと社畜あるいは非リア充という設定は、なにかとても日本的だなと思います。

だって、異世界でチートなにに相変わらずまじめで自己評価超低い

一方でこういう価値観が隠れている物語が、漫画やアニメを通してどんどん世界に広がっていく今、それってかなりすごくないですか。

もっとも、今の日本のオジサン支配はほんとに末期症状で腐臭ぷんぷん

まあ、これも大きな転換期の兆候の一つなのでしょうね。

ただ、いわゆる社畜漫画を読むより、こういう転生ものを読むほうが楽しいし精神衛生にいいと私は思います。