アメリカの映画館は今かなり様変わりしつつあります。新しい映画館では席をリクライニングのすごく座り心地の良いものに替え、スタジアム型の空間。当然のようにスクリーンごとの席数は半数以下になります。そして私が今利用するこんな映画館では、もう全席指定になりました。

未だにその場できっぷを買うことはできますが、大抵の人はスマホ化Webで予約してQRコードで入場します。Web予約は手数料を余分に取られますが、毎月マチネ一枚分の料金を払ってメンバーになると、手数料無しで予約できるようになります。

さらに毎月一枚までは、無料でチケットが購入でき、さらにさらにたまたま見たい映画がなかった月は、使わなかったその一枚を繰り越すことができます。

まあ、ここまで読んでさすがの私もメンバーになりました。あと売店のスナックもたしか15%かな割引です。

 

結果的に、行動が変わっった事というとまあ、月の初めに特別前から封切りを待っていた映画ではなくても、娘を映画に連れて行こうと思い立つ様になりました。まあ、月イチですし。

 

というわけで、土曜日の朝娘に映画を見に行こうかと聞くともちろん大喜び。で最初にチェックしたのは予告編がとてもキレイだったディズニーの映画’くるみ割り人形’。ところがこれがアメリカ最大の映画評Potal Rottontomatoeで酷評。

で、選んだのがこの映画 ’Hate U Give’でした。

ちなみに、RottontomatoeのMeterは、ほぼPerfectの96%です。

 

原作は同名のYA小説。日本の今のラノベより、昔多かったジュニア小説(といってもわからないかも)に属する小説。主な読者対象はTeenagersです。

 

幸い翻訳が出ています。日本での映画の公開はまだ決まっていないので、本の方をオススメです。私はこのあと英語で読みます。Kindle 安いし。あ、でもAudio Book にしてみようかな。とにかく最近どんどん目がきつくなっているし。

 

それはともかく、こちらです。

この本、アメリカのアマゾンのFiction部門で現在なんと6位。9週間リストに載ってますが、逆に一位上がりました。それ以上にReveiw のスコアが4.8(Out of 5)というのがすごい。

 

絶賛Review は、YAとしてより、今アメリカで一番大きな問題のひとつである’主に黒人に対するPolice Brutality’を扱った小説として評価されてます。

作者のアンジー トマスはアメリカのDeep South, Mississippi州出身の若手黒人女性ライターで、

これが処女作です。

 

日本語ってつくづく英語に比べると、Audio visualだなと思います。英語はとにかく頭の中で聞く感じ。ですから小説について話す時、よく作家のVoiceという言い方をします。

で、この映画が成功したまずいちばん大きな理由は、作家の声であり、小説のナレーターでもある主人公を演じた

AMANDLA STENBERG

とにかく彼女がいい。

彼女は、かって映画’Hunter Game’で主人公Katnissと仲良くなった愛らしいとしか言いようのない黒人少女を演じていました。(ちなみに、Battle Royalのおかげで、日本ではHunger Gameの面白さが全然受けいらられていない。特に一作目は凄くいいのでオススメです。)

 

彼女が演じる主人公Starrは、ゲットーに住みながらも、頑張るお母さん(ベテラン看護婦)とお父さん(ゲットー唯一のコンビニ的ストア)に方を押されて、白い地域にある、圧倒的に白人の多い私立高校に通っています。

 

映画は別に、彼女が高校で特別嫌な目に合うとか、そんな安易な方向へは発展しません。彼女には既にかなりベタボレな、白人のBFもバスケ絡みの友達もいます。

 

でも、週末は住んでいるゲットーのPartyに幼馴染の友だちと出かけます。

 

彼女の一番正直な気持ちは、どちらの世界も自分の一部でありながら、どちらの世界にも違和感を覚える自分です。

 

と、こんな危ういバランスに、衝撃的な亀裂がはいるのです。

 

たまたまのPartyに久し振りにあった、幼馴染に、車で送ってもらうのですが、途中で白人の若い警官に車を止められ、幼馴染のちょっとした’おふざけ’がそのまま彼の死へと帰着します。

白人警官は、彼がブラシを取り上げたのを武器と誤認して射殺したのです。

 

うちの娘はこのシーンに、(いや、このもう少し前の発砲音でしょうか。)ものすごく衝撃を受けて、このあとすべてがピンとこなくとも一生懸命見てました。

 

Grippingというのはこの映画にふさわしい表現ですが、アメリカの原作のReveiwもこの単語が目立ちます。

こう、胸を鷲掴みにされて引き込まれる感じ。

 

今のアメリカの毎日を生きている人間にとって、映画の中で起こっていることは、ある意味もう日常的に馴染みのあることです。この小説が書かれた動機も、実際にこんな事件が起こったのがきっかけです。そしてお話の進展は、救いが無いほど現実をなぞり、どんどん絡み合っていく。

 

でも、あなたが黒人でないかぎり、この映画で暴き出されたリアルと言うのは実感できないのだと思います。もちろん映画はそこを実に効果的に描ききります。

 

ただ、それだけだったら以前にもそれなりの映画やFictionはあったのです。そしてなぜタイトルが

 

Hate U Give

 

なのか。

 

この映画は最終的に私達に

希望をたくすのです。

今の時代、本当に希望について語るのが難しいのに。

 

フロリダの高校でのSchool Shootingは、アメリカの銃規制にたいする無力感を今塗り替えようとしています。彼らがMarch for Our Livesを全米規模へと組織していった時、一番の功績は、銃撃というリアルを日常的に生きてきた都市部の黒人高校生たちとの共闘を成功させたことでした。

 

この映画、一周目は他のブロックバスターに押されて弱かったのですが、逆に二週目から回復しています。私が見た時、とにかく呆れるほど観客のタイプがバラバラでした。

 

もちろん私達もそのばらばら度に貢献してますが。

 

選挙まであと2日、正直いろいろな意味で怖くてしようがないですが、希望を持ち続けることが力になるのだと思います。

 

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