実は、正直なところ私は計算が得意だと思ってません。つまり数字が特別好きなわけではないです。

大学院では数学専攻でしたから、もちろん数学を勉強しましたが、たとえば物理専攻や工学部のひとなどのほうが、よほど延々と計算が続く微分方程式などをずーっと効率よく解いていると思います。

 

ただ、いくら位相幾何学が専攻で代数も好きという私でも、大学院ではTAとして働かされます。あのころ、TAとして学部生のクラスを受け持つ場合、基本2タイプありました。微積分の問題セッションと、文化系の学生がどうしても取らなくてはならない数学の一クラスです。

 

アメリカでは、STEM高校に行かない限り、微積分までは進まないので大学で微積分の1から始める学生は基本すべて理科系です。しかも、一応高校で微積分のクラスを取って、その上でこのクラスを取らされることも多いのです。

 

後でふれる文化系専用の数学のクラスに比べるとだいぶましでしたが、それでもいわゆる理数系だと思いこんでいた生徒が、つまずくパターンは一定数ありました。

 

高校で微積分を取る場合、Limit,極限値についてはあまりつっこみません。でも大学の微積分では、エプシロンーデルタによる定義とか、近傍(Neighborhood)の概念をとりいれるので、ここでエンジニア系の一部や、将来Medical Schoolに進むつもりの学生が混乱します。

 

ただ、この人達はまあアルゴリズムとして覚えることのできる計算に関しては、基本的な問題はありません。不思議とComputer Science専攻の生徒は構造概念についての飲み込みがいいですが。

 

問題は、文化系のひとたちです。内容としては日本の高校の数一に当たるレベルで、ただ応用問題が多かった。さらになぜか行列を使って連立方程式を解く項目も含まれていたのです。

 

で、実は採点する側にとって、一番うんざりするのが行列計算でした。

通分ができない人間が多すぎる。

 

他の計算能力に比べて、とにかく分数計算が弱い。これ明らかに中高での計算機の導入にも問題があるのだと思いますがね。

 

そこで東洋経済オンラインの記事です。このタイトルはすごかったですね。

日本の大学生が「%」を理解できなくなった理由、約2割が「2億円は50億円の何%か」解けない

 

ただこの記事、こういう数学力の話をしている割には非常にとりとめがないのです。原因としては、大学受験がマークシート式になったからだとか、文系に数学やらせないからだめだとか

 

まあ、もの教えるのが基本下手な日本人が多いですからこうなるのでしょうね。あ、コレは一応新刊の紹介なので、本のほうは内容があると思います。記事の書き手の方は、まあ記者さんで、本人上から目線の割には記事がわかりにくい。

 

 

というわけで、私はもと数学者の卵だったし(一応Ph.d持ってます。で、2年Post Docやって仕事なくてあきらめました。)、大学院時代を含め8年数学が基本的に好きではない生徒に英語で数学を教えていたので、この際私なりに数学(算数)的なものの考え方のうち、知っていると毎日の生活がより、

明解なものになる

 

話題を、ある程度の練習で使えるようになるまでを含めて、講座を開講しようと思います。

 

特に数学関係の場合、数学的な仕組みと、その使われ方の絡み合いが混乱を生んでいる気がします。しかも、じつは小学校レベルの算数というのは、実は概念的にはかなり深いものを含んでいたりします。

ですから、小学レベルの算数がきちっと頭に入っていないので後々数学全般がだめになるというパターンは、

非常に多い。

 

というわけで、この講座のいわゆるprerequisites(クラス、講座などを取るための予備知識)は、

九九

これもしうろ覚えでしたら、不便なので覚えなおしてください。ちなみに、11の段とか、12の段も覚えてしまうと、いろいろと便利です。)

四則演算

(これは、基本足し算と引き算は暗算でできるように練習してください。お金の計算をまめに頭の中でやるといいです。父はお金の計算だけは私より早かったです。あと、アメリカにいるとチップの計算をそれなりに頭でするようになります。暗算のコツもいずれやりますね。)

分数と比例の基礎

これは、なんとなく、わかっていればいいです。あまり概念にこだわっても実用で役立つわけではないですから。

 

さて、今日はまず、%にAttackしましょう。

 

まず最初に、%の概念以前に、分数って小学校でやるものですがその正確な定義はかなり複雑です。

つまり、簡単に行ってしまえば、、2分の一も、10分の5も、12分の6も、すべて同じ値をしめすわけで、たった一つの値でありながら、実はそれを示す表示はなんと、

無数にあります。

 

で、これ学部レベルの代数で、Equivalence Classes,日本語で同値類といいます。別にその正確な定義をしる必要はありませんが、決して自然な概念とは言い難い。比例を表すというのは結構深かったというわけです。

 

こどもは、リンゴや、パイの切り分け図をみながら、この概念を学ぶわけです。娘も分数を最初に習った時は、なんども、こういう確かめをやらされてました。

 

これの概念を絶対馬鹿にしないように。基本これがわかれば分数計算は面倒ですが、わかりやすいものになります。

 

ではそのなかで、%の特別性とは、コレ Per Centですから、100分のいくつかという割合です。で、なぜ100か考えると、コレはそもそも

私達が10進法にいちばんなれているからでしょう。

 

で、慣れているということは、数字にたいして何らかのイメージが湧いてしまいます。まあ、ここで数学的なものと、数値に対する感覚的な意味付けが混じり合ってしまうわけです。

 

つまり、2%、も10%も、49%も、90%も本来たんなる100を分母とする分数の特別な表示に過ぎないわけですが、普通%にふれる文脈では、なんらかの母体にたいしてしめる特殊な共通項の割合を示しているわけです。

 

それにしても、このタイトルまあ日本語としてはこれでいいのかも知れませんが、数学的には、同じ文脈に、%と、割を両方使っているのはいただけません。(ちなみに割の分母は10です。)

 

%の話にもどると、たとえば上に上げた数値に対して、実は結構それなりの反応がきまってます。

2% : 債権の利率でもないかぎり、ああ、コレは無視できそうという反応が多い。

10%: 二桁か、そろそろガン無視はできない。

49%: うわ、もろ割れたなあ。

90%: あ、これがもう流れなのね。もうこれでまず決まりだなあ。

 

100以外でも、身近なところでは60が分母、つまり時間です。(この場合12の方は量でというより、ポジションの情報性が強い。)

これは、タスク管理で使いそうだけど、3分、5分、15分、25分それぞれ感覚的に重みを振ってますよね。というか、タスク管理ではその感覚を逆用して、いわばやる気を維持したりするので。

 

さて、2億円は50億円の何パーセントかという問題ですが、

これは、50分の2が、100分の何に当たるかという問題なわけです。

 

本来なら、通分という算数の計算をするべきなのですが、実際問題としてそんな面倒なことをしなくても、

スマホの電卓をつかって、2を50でわれば、一発で

 

0.04という値がでてきます。

 

で、0.04は、十進法の100分の一の値が、4単位あるという意味ですから、これは

100分の4となり、パーセントとして読むと、

 

4パーセントになるわけです。

 

ちなみに、これが50億でなく、例えば30億だったりすると、十進法の表示は無限の長さになります。

0.06666666….

で、電卓だと、適当なところで端夫って、0.0667なんて数字が出てきて、で6.67%みたいなところで納得してます。

 

まあ、日常で計算をする可能性は、とにかくお金がらみが多い。それ以外はお料理やお裁縫でしょうか。あと、日曜大工でも使うかしら。

 

ともかくここで言いたいのは、数字が現実に存在するものに対応する場合、まあ肉眼で判別できないような数字や、意味をなさないぐらい小さい数字は、

誤差として無視してOKということです。

 

ちなみに、なんで2を5で割ると、0.04になるかということをきちっと説明すると実数環の話まで行ってしまうので、さすがにこれは省きます。学部レベルの代数の話になるので。

 

まあ、数学以前に私たちは結構十進法が体になじんでしまい。さらにこれたぶん会計の歴史と関係があるのではと思うのですが、100を分母とする、あるいは100分の1を単位とする、パーセントが一般的に使われるようになったのでしょうか。

 

日本の古来では、同じ10進法でも、割は10が分母ですが。

 

というわけで、Excelで円グラフを作ったりすると、ありがたみが湧くパーセントのお話でした。

 

 

 

 

 

 

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA